地域のミューズを発掘するメディア
古屋智久さん
GMOメイクショップ株式会社 専務取締役COO 兼 福岡支社長
「どうせ東京に戻っちゃうんでしょう?」
福岡に出張で訪れた際、取引先からそんな言葉をかけられた。「それなら住んでやる」と、そのまま福岡に腰を据えて9年。
今では九州を拠点に、BtoCもBtoBも、ECも実店舗も、日本の流通全体を見渡す立場にある。ECサービスの競合が増えるなかで、GMOメイクショップの強みとは?
これまでの歩み
20代はECとはまったく関係のない半導体商社にいたのですが、その後EC専門のWebディレクターに。そこから営業企画になり、GMOメイクショップ社に入社し、管理部門の経験がなかった中での配属となりました。
人事・経理・総務といったバックヤード側を理解することから始め、会社経営という根幹に触れつつ、GMOインターネットグループというグループ会社経営のやり方や、グループ他社の成功事例などにも触れられたことで自身の経営脳を鍛えられた期間だったかなと思います。
管理部を経験した後に営業系取締役に就任し、makeshop事業のさらなる発展のため九州地方開拓を決意。自身も単身赴任という形で福岡へ居住を開始しました。
まずはEC事業者さんたちが集まる勉強会等に徹底的に参加して懇親会へ行き、「絶対に最後まで帰らない」という掟を自分で決めて人と人の付き合いをしていく。ということをしていました。
同時に少しだけかじっていたゴルフを再開し、EC事業者が集まるゴルフコミュニティに参加できたことで一気に繋がりを増やすことができました。
福岡の魅力は、やっぱり「人の近さ」。例えば東京でビジネス交流会に行くと、名刺を何枚交換したか、どんな肩書きかを伝えて、すぐ次の人へ、という場面が多いですよね。
でも福岡では、一度話し始めたら本当に長い(笑)。初対面で深くまで話すし、その場で「次はどこで会おうか」という話になる。
実際に別の場所でまた偶然会って、そこからさらに関係が深まっていく、そんな流れが自然に生まれるんです。人と人とのつながり方、その濃さは、やっぱり東京とは全然違うなと思いますね。自分がコミュ障なほうなので、それはありがたかったです。
この時にはメイクショップのみならずすべての事業の統括となったため、「本社に戻らなくていいのか?」という葛藤があった時期でもありますが、九州・福岡でのコミュニティも広がり、一定の認知をいただけていたこともあって「今そのタイミングではない」と会社にも納得してもらい、引き続き福岡開拓を続行しました。
福岡で事業を展開していたスマホアプリプラットフォーム企業にジョインしていただきました。これにより、オンラインであるECとオフラインの実店舗をつなぎ、実店舗会員とEC会員を連携させ、どちらでもポイントを利用できる仕組みなど、OMO施策の強化を提供できるようになりました。
私自身もアプリ領域の知見を深めることができ、結果として、お客様への提案の幅が一段と広がっていると感じています。
古屋智久さんの未来地図
01
福岡支社を拠点に、福岡を中心とした九州地方のEC事業者様に向けて、カスタマイズを軸としたmakeshopエンタープライズプランおよびGMOクラウドECのご提案を行っています。
九州・福岡は、ダイレクト通販をはじめとする通販事業が盛んな地域であり、「日本の10%経済圏」とも言われる重要なマーケットです。そうした背景から、九州エリアにおける事業拡大の拠点として福岡支社を設立しました。
また、2023年10月には福岡でスマホアプリのプラットフォームを運営していた企業にGMOメイクショップへジョインしていただき、ECと実店舗の融合(OMO)をより広げていく取り組みも進めています。
さらに、今年は新たに越境EC支援サービス「Japan Finds byGMO」を提供する企業がジョインしました。福岡には海外でも通用する魅力的な商品を持つ事業者が数多く存在します。そうした事業者が国内ECと同じ感覚のまま、海外主要モールへ挑戦できる仕組みです。福岡・九州で長く事業者の方々と向き合ってきたからこそ、「国内で売れている良い商品を、次は世界へ届ける」という流れを、現実的な選択肢として提示できるようになってきたと感じています。
GMOメイクショップでは、「日本でEC事業を継続・成長させていくこと」を前提にサービス設計を行ってきました。
日本の商習慣は業種・業態ごとに異なり、ギフト対応や熨斗など、日本独自の要素も多く存在します。そうした現場の実情を踏まえ、国産サービスとして必要な機能や運用を積み重ねてきています。
その結果、GMOメイクショップは13年連続で流通額ナンバーワンという実績を維持しています。ショップ様が「売れる」ことを最優先に考え、機能提供だけでなく、運営を支えるサポート体制にも注力しています。また、カスタマーサポートはすべて日本人の正社員が対応しており、日本語で、かつ事業者目線で相談できる環境も整えています。
日々の運営課題に寄り添いながら、実務として使い続けられるECプラットフォームであることが、GMOメイクショップの強みだと考えています。
当社は、サービス自体はどんどん増えていますが、執行役員制度がしっかりしていて、各執行役員が本当にきちんとやってくれています。
そのおかげで、私は細かいところに入りすぎず、わりと自由に動かせてもらっているというか、好きに“暴れさせてもらっている”感じですね。全体を見ながら、新しいことを仕掛ける役割です。
02
東京からの出張ベースで来ていた際、「東京の会社とは契約しない」ということをその当時のお客様から言われたことがあり、「それであれば住んでやろう」という半ば意地のようなところもあったかもしれません(笑)。
現在は9年目になりますが、地場での活動の大切さと心地良さを感じています。福岡はご飯が美味しいのが最高ですね。ふらっと入った赤ちょうちんのお店のおつまみがめちゃくちゃ美味しかったりしますから。街がコンパクトなので終電を気にせずお酒を飲めるところも魅力です。
03
BtoCでもBtoBでも、総合通販でも単品通販でも。ECでも実店舗でも、日本でも世界でも。販路拡大や売上向上に関することなら、「GMOメイクショップ福岡支社に聞けば、なんとかなる」と言っていただける存在を目指しています。
一方で、これまでECに取り組んできた層については、すでに出揃ってきており、一定の飽和感があるとも感じています。無料カートを含め、カート利用自体は広く普及しており、既存領域では競争が起きているのも事実です。
ただ、日本のBtoC EC全体を見ると、EC化率はまだ10%未満で、市場としての成長余地は大きいと考えています。さらにその先には、「国内で売れたら、次は海外へ」という成長のステップがあると考えています。福岡・九州には、世界に誇れる商品や技術、ストーリーを持つ事業者が本当に多い。だからこそ、「Japan Finds byGMO」を通じて、越境ECを特別な挑戦ではなく、国内ECの延長線上にある次の一手にしていきたい。福岡は、アジアにも近く、人と人との距離が近い街です。ここを起点に、「福岡から、日本へ。日本から、世界へ。」そんな小売りのハブの一角を担える存在になりたいですね。
また、BtoB ECは特に成長が著しく、紙やFAXで行われてきた企業間取引をDX化していく流れが加速しています。GMOメイクショップでも以前からBtoB ECの活用を進めており、手応えを感じている分野です。
今後の軸としているのが、ECと実店舗の連携です。
実店舗とECで会員情報やポイント、在庫管理が分断されているケースは多く、これらを統合することで、再来店の促進や業務効率の改善につながります。アプリプラットフォームの導入も含め、ECと実店舗を横断して支援していく体制を強化しています。
古屋智久さんに10のQuestions!
Q1
「古屋さん、契約したらどうせ東京帰っちゃうんでしょ?」と言われたことが残っています。まったくそんな考えはありませんでしたが、いることに意味があって、必要とされているんだなと実感しました。
Q2
今はやっぱりAIです。様々なものがAIに置き換わることが決まっている中で、ECでも買い方や概念自体が変わっていったりと、どんな世界になっていくかワクワクしています。
Q3
部長達と合宿をし、「本気で言いたいことを言い合おう」というのをした事があるんですが、満場一致で私は「コミュ障である」というお墨付きをいただいています(笑)。
人の顔と名前を覚えるのがとても苦手です。
長所としては物事を客観的に、俯瞰してみることが得意です。
Q4
劇団四季を観に行った際、まわりのお客さんがほとんどの方がおそらく何回も観にきているファンの方々で、拍手やスタンディングオベーションのタイミング、休憩時間のトイレダッシュ、主役の方への拍手の強弱などが完璧で、ファンビジネスの奥深さに感動しました。
現在アプリプラットフォーム事業を見ている中で、アプリは何のために必要なのか。について、「ファンに恩返しをするためのもの」と位置付けていることもあり、とても参考にさせていただきたいと思いました。
Q5
30点です。まだまだ出来ることはあるし、やらなければならないことも出来ていないと思っています。実行力をつけていきたいですね。
Q6
新しい世界を見られ、新しい知識を得られ、失敗も自分の経験とできる楽しめる最高の機会。
Q7
福岡に来て丸2年間、思うような結果が得られなかったことです。
折れそうになりましたが、徐々に紹介いただけるのも増えてきて、諦めずに続けていくことの大切さと、人と人のつながりの素晴らしさに気づけて乗り越えました。
Q8
今まで韓国・タイには行ったことあるんですがそれ以外の国に行ったことないので、アメリカやヨーロッパなどいろんな国に行ってみたいなとは思いますが、コミュ障なので怖いというのが先行しています。
Q9
会社をリタイアした際にカフェ(夜は小料理屋)を開きたいなという夢があります。
できたとして本当に実現させるか。というのはまだまだ諸説ありますが、どちらも雰囲気がよくて自分が好きな空間を作って、好きな常連さん達とゆっくりした時間を過ごせたらいいなという想いです。
Q10
「なんだかんだラッキーおじさんの人生」。
EC業界に入ったのも、メイクショップ社に入ったのも、専務なのに福岡開拓させてもらえているのも、10年単身赴任をしていられるのも、13年連続日本一のサービスになっているのも、社長や仲間達、家族に恵まれ、私のことを理解してくれる方々がいてくれるという、本当にラッキーな人生だと思っています。
Profile
プロフィール
古屋智久/Tomohisa Furuya
GMOメイクショップ株式会社 専務取締役COO 兼 福岡支社長
1978年12月17日生まれ。神奈川県鎌倉市出身。半導体商社からEコマースに魅力を感じ2004年からEC業界へ。IT系上場企業のWEBディレクターとして200社以上のECサイト構築を経験。その後、営業企画部にて営業戦略から予算管理、KPI管理の確立と基幹システム導入などを経験し営業企画部長に。2012年GMOメイクショップ社へ入社。
経営管理部長としてバックオフィスの立て直しを行い、2015年営業・マーケティング管掌取締役へ就任。営業管理体制を刷新し業績向上へ寄与。2017年4月福岡支社立ち上げのため福岡と東京の生活をダブル拠点とし、福岡支社を全国営業No.1へ押し上げる。日本一売れるショッピングカートシステムのプロダクトオーナーとして東京・福岡で奮闘中。趣味はゴルフとキャンプ。
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