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地域のミューズを発掘するメディア

康野将吾さん

pin_fill_rounded_circle [#ffffff] Created with Sketch. 日向市

ペインター、イラストレーター

「コミュ障が〝自分で動く“原動力に」

History

これまでの歩み

2010年 21歳

ロンドンの美術大学に短期で留学

幼い頃から絵を描くのが好きだったので、通っていた大学を休学して留学しました。コミュニケーションが得意なほうではないですが、絵を通して人と人は繋がれることを実感。

2012年 23歳

広告代理店に就職

大阪出身で、社会人になるまでずっと関西で過ごしていました。就職を機に上京し、広告会社に入社。クリエイティブな職ではなく、テレビ・ラジオ局などメディアとの仲介業務、そして営業職と2つの職を経験しました。

絵だけで勝負したいという気持ちはありつつも、当時はそこまで自信もなく、「それだけで食べていける」と思えるほど向こう見ずな性格でもなかったので、まずは就職する道を選びました。広告業界に憧れがあって入社したものの、想像以上に大変でしたね。11年間働きましたが、わりと後半はずっと「辞めたい」という気持ちがあったように思います。人と話すことは好きですが、アウェイが苦手です。営業とか、本当にむいてないですね(笑)。

2024年 35歳

会社を辞めて独立後、東京で人生初めての個展を開催

「もし転身するなら30代かな」という考えはずっとありましたが、なかなか会社を辞められずにいました。ですが、仕事のストレスが重なり、ついに精神的にまいってしまって、精神科に通うほどに。30代半ばにさしかかり、残りの人生を見つめ直した時に、「このままやりたいことをやらないとこのままでは後悔する」と思ったんです。そして、会社を辞めて独立を決意。

幸いにも、2019年から犬の似顔絵屋さんとして副業をスタートしており、それを定期的に依頼していただいていました。そのことも後押しになり、「精神面での苦しさから抜け出すためにも」という思いで、思い切ってアーティストに転身しました。

現在

Vision Map

康野将吾さんの未来地図

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現在の活動内容は?

宮崎県日向市にて、「BORING DAYS STUDIO」という名義でアーティスト活動をしています。今後さまざまな表現方法にチャレンジしていく予定ですが、現在はアクリルペインティングによる作品を中心に制作し、個展の開催やオリジナルグッズの販売を行っています。個人的にポップな絵の方が好きなのですが、その中にもちょっぴり毒があるような、遊びを入れた作品が好きです。

東京から日向に移住したきっかけは、大学時代からの友人です。彼が僕より一年前に日向に移住し、その魅力をインスタグラムなどで発信していたことから、休日に遊びに行ったんです。実際に訪れてみると、サーフタウンの穏やかな空気や、まるで西海岸のようにも見える海沿いの風景に惹かれ、思い切って移住を決めました。日向はビーチが開放的で、背後には鬱蒼とした山が広がり、ヤシの木も生えていて、未開拓のハワイのようなそんな雰囲気があって。とても心が穏やかになれて、居心地のいい場所です。

制作活動という観点からは、東京ではなかなかないような広い部屋を確保でき、絵の制作と保管に余裕が生まれました。喧騒から離れ、制作に集中しやすい環境だと感じています。ビーチでiPadを使ってラフ画を描いたりすることもありますし、スタバのようなカフェで描くこともあります。都市と自然のあり方バランスがよいところも魅力ですね。

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自然からインスピレーションを得て、創作活動を行っている

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活動の原動力は?

小さい頃からずっと絵を描くのが好きで、心のどこかでは「いつか仕事にしたい」と思っていましたが、絵だけで生活できる自信もなかったので、普通に就職をして、絵とはまったく関係のない営業の仕事に就き、11年間続けていました。
そしてようやく30代半ばになってアーティストに転身したわけですが、今の原動力は、これまで忙しくて描けなかった分の“反動”みたいなものと、個展で作品を見てくれた人の表情や、話しかけてくれたときの会話の楽しさ。その一つひとつが、次の作品へのエネルギーになっています。

作品制作においては、2つの側面を大切にしています。1つは鑑賞者が深掘りできる余地を用意すること、もう1つは考えなくても見た目だけで「可愛い」「かっこいい」と感じてもらえることです。内省的な意味にこだわりすぎて見た目が受け付けられないものではなく、見た目もキャッチーで人の心が動くものを作りたいと思っています。一歩踏み込んで深掘りしても味わえるような作品を目指しています。

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見てるだけでも楽しく、意味を考えるのも楽しい作品を目指している

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描いている未来は?

個人で活動していますが、アーティスト名は「BORING DAYS STUDIO」にしています。個展ごとにテーマやテイストを変えながら、いろんなことに挑戦していきたいなと思っていて、この名前にしました。いつかそれらの作品をまとめてアートブックにして、本を車に積んで“移動本屋”みたいなことができたらいいなと思っています。コーヒーを飲みつつアートを楽しんでもらうといったような移動本屋。それを実現するためにも、まずはいろんな場所で個展を開いていきたいですね。

絵を見てもらう環境は、背筋が伸びるようなビシっとした場所というよりかは、カジュアルな雰囲気の中で楽しんでほしいな、という想いがあります。それによく合うような作品を描いていきたいです。

飛び込みで営業に行くのはあまり得意ではないので、「出版しませんか?」と言われるのを待つより自分で出しちゃおうとか、「デザイン頼めませんか?」とお願いするより、先に自分でつくっちゃおう、みたいな考え方なんです。そんなふうに、コミュニケーションの苦手さみたいな不安が、逆に“自分で動く”原動力になってる気がしますね。

地域の活動でいうと、日向市は波がいいので、一年を通してサーファーがたくさん訪れます。でも最近は、僕と同世代くらいの人たちが、洋服屋さん、レコード屋さんなど、個人のお店を次々とオープンしていて。サーフカルチャーとはまた少し違う、街の新しい盛り上がりが生まれてきているんです。そんな変化を見ていると、これからの日向がますます楽しみだなと思います。
サーフィンの文化も、それ以外のカルチャーも、どっちも一緒に盛り上がっていけたらいい。僕も「絵」という形で、少しでもその流れに関われたらうれしいですね。

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個展に来たお客さんと話す時間が楽しい

Essence

康野将吾さんに10のQuestions!

Q1

活動しているなかで、心に残っている出来事はありますか?

個展で実際に自分の絵を見てくれた人たちの表情や言葉すべて。みんなに絵を見てもらえることが、自分の喜びです。

お客さんが会場に入って絵を見た瞬間に顔がパッと明るくなると、すごくうれしくなります。いろいろ夢を語ってしまいましたが、それがゴールだったりもしますね。

Q2

長所、短所を教えてください。

長所:長期戦が得意。あまり諦めません。一点集中型です。あと、人の顔を覚えるのが得意。

短所:集中していると(というか普段から)、視野が狭くなりまわりが見えなくなるところ。あとは段取りがよくない。物忘れが激しい。

Q3

最近、感動したことは?

日向の風景をテーマにした個展を開催した際に、インスタグラムで絵を気に入ってくれた方が初日オープン前に並んでくださって、オープンと同時に絵を購入してくれたこと。

Q4

今の自分に点数をつけるとしたら?

50点。

30代後半、アーティストとしてもまだ2年目で、まだまだできないことや知らないことだらけなので、もっといろんなことを吸収していきたいという想いを込めて。

Q5

座右の銘を教えて下さい。

人にやさしく。

Q6

あなたにとって「挑戦」とは?

避けて通れないもの。

Q7

挫折しそうになったことはありますか? 乗り越えた方法も教えてください。

会社員時代、自分の苦手な業務に追われる日々の中で、心が病んでしまいました。会社からしばらく休みをもらい、自分の心を癒すことを最優先しました。これまで書き溜めたジャーナルを見返したり、また書き進めることで、これからの人生の方向性を探っていくことで徐々に前に進めたような感じです。

Q8

死ぬまでに一度はやっておきたいことは?

旅。旅慣れしていないので、具体性がありませんが、漠然と旅。

Q9

あなたにとって「夢」とは?

「夢=叶えたい素敵な状況」とするなら、今まさに自分は夢の中に生きていると思います。愛する家族が健康で、好きな仕事ができて、友人がいます。これ以上は必要ありません。

「夢=到達したい目標」とするなら、自分の場合は、「今後描いてみたい・作ってみたい表現」です。それは無限にあります。死ぬまでにどれだけ多くの表現ができるか分かりませんが、ひとつひとつ、コツコツと制作していきます。

Q10

日向でお気に入りの場所は?

伊勢ケ浜。日向には広々とした小倉が浜、金ヶ浜がありそこも大好きですが、個人的には少し小さく人の少ない平日はプライベートビーチ感のある伊勢ケ浜がお気に入りで、散歩をしながら考え事をするのにぴったりの場所です。

Profile

プロフィール

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康野将吾/Shogo Yasuno

ペインター、イラストレーター

BORING DAYS STUDIO(ボアリングデイズスタジオ)と名付けたアートスタジオから、ペインティング、ドローイング、シルクスクリーン、陶器といった様々な表現方法で自身のアイデアを形にしている。そのインスピレーションの源泉は、日常での思索、小説、音楽、映画、そして現在住む街の海や山の自然など。