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ウィズトライ株式会社 代表取締役
企業向けの生成AI導入支援やリスキリング事業、AIスクールの運営を手がけるウィズトライ株式会社代表・末松光太郎さん。最初の就職で大きな挫折を経験したことをきっかけに、「挑戦すること」を自らに課し続けてきた。そして今、自身の経験を原点に、「挑戦する人」を一人でも増やしたいという想いを胸に、熊本を拠点に活動を続けている。その原動力と、見据える未来について話を聞いた。
これまでの歩み
学生時代は九州大学大学院で遺伝子の研究に没頭。学部で唯一の奨学金の全額免除を受けられるなど、努力が報われる環境にいました。実際に研究成果を出すことができ、自信に満ちていたと思います。
しかし、製薬企業に就職後、状況は一変。決められたことを正確に時間内にこなすことができず、仕事でミスが続き、上司に叱責される日々が続きました。次第に自信を失い、3年目には市の無料相談窓口に「社会人としてやっていけないかもしれない」と電話をかけるほど追い詰められていましたね。
「自分はできる」と思っていただけに、その時期はかなり辛かったです。人生で初めて、大きな挫折を味わいました。それまでの人生では、受験勉強でも昼夜を忘れて打ち込むようなタイプで、目標があればとことんストイックになれるほうだったので......。
この経験を通して、「自分の強みを最大限に活かせる場所は、自分で見つけにいくものなんだ」ということを学びました。当時は苦しかったですが、社会人としての基礎や仕事に向き合う姿勢は、以前の会社で教えていただいたものです。会社員として働いた時間があったからこそ、今の自分があると感じています。
社会人になって挫折を経験し、「このままでは終わりたくない」と思っていた頃、サラリーマンから独立していくYouTubeチャンネル「アキオブログ」を見て衝撃を受け、挑戦していくことの大切さを知り、「自分もこうなりたい!」と強く思いました。これをきっかけに「30歳で独立起業する」と目標を定め、そこからは仕事以外の時間をすべてプログラミングや動画編集など、副業の勉強に捧げました。
独立して起業するため、会社を辞めることに。その際、上司に「会社を辞めたらもうこんな給料は一生稼げないよ」と言われ、人生で一番の悔しさを感じました。
その悔しさをバネに「絶対に見返してやる!」と独立後に上司の収入を超えることを決意。がむしゃらに働いた結果、3カ月で当初の目標を達成することができました。
今では、当時未経験の分野で独立する私のことを思って激励してくれたのだと大変感謝しています。
独立当初は映像制作を主軸に、企画から撮影、編集、納品までをすべて一人で担う事業を行っていました。ただ、単価を低く設定したうえに単発案件ばかりを受けていたため、売り上げを伸ばそうと寝る暇もないほど働く日々が続き、過労で倒れたこともあります。さらに、お金のトラブルも重なり、多くの失敗を経験しました。
こうした状況が続くなかで、「もっと持続可能なビジネスをつくらなければ」と考えるようになり、事業の方向転換を決意。まずは、SNS運用代行など、継続的に価値を提供できる事業へとシフトしました。
その後、「リスキリング」という社会的な流れを捉え、企業向けにSNSや動画制作を教える講座をスタート。そのタイミングで生成AIに出会い、大きな衝撃を受けました。試しにAI講座をリリースしたところ、ほかの講座と比べて10倍以上の反響があり、「これからの時代はAIだ」と確信。現在では、このAI領域が事業の大きな柱となっています。
末松光太郎さんの未来地図
01
熊本を拠点に、WizTry(ウィズトライ)株式会社を経営しています。地元企業に向けた生成AIの普及とリスキリング(学び直し)を軸に、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援、AI活用研修、AIを組み込んだチャットボットの開発などを行っています。
また、2025年10月には熊本で個人向けの「AIスクール」を開設し、定期的に勉強会も開催しています。熊本県内では、AIやDXを専門的に教える企業はまだ多くありません。AI関連サービスを専門的に提供する企業は、当時の熊本ではまだ少なかったと思います。こうした環境だからこそ、私たちが専門的な教育を提供することで、地域社会や熊本で暮らす方々の力になれるのではないかと考えています。
出身は福岡県糸島ですが、事業拠点を熊本に置いているのには理由があります。最初の就職先が熊本で、スキルも実績もない会社員だった私が独立・起業した際、熊本の企業の社長の方々に本当に多く助けていただきました。仕事を発注していただき、支えてもらった経験があり、その恩返しをしたいという強い思いから、今も熊本で事業を続けています。
事業で大切にしているのは、スキルを「学ぶこと」そのものではなく、学んだ先にある「実践の場」につなげることです。自身の経験から、本気でスキルを身につけるためには、「学び」と「仕事」を直結させることが何より重要だと感じています。ビジネススクールで知識を学んでも、実践の場がなければスキルは磨かれていきません。
熊本の地場企業には、「人とのつながり」を大切にする文化があります。だからこそ、まず私たちが企業と信頼関係を築き、その上で学んだ人たちを、熊本の企業の「実際の仕事」へとつなげていく。学んだスキルをすぐに実践し、活かせる場をつくることで、人も企業も、ともに成長していける環境を提供していきたいです。
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私の一番の原動力は、「誰かの挑戦を後押ししたい」という強い想いです。AI時代において、企業も個人も、変化に対応するための「新しい一歩」が不可欠だと感じています。だからこそ、まずは私自身が行動し続け、その姿を通して「動き出すことで人生はもっと面白く、輝く」ということを示したい。そして、その背中を見て周囲の人たちが一歩踏み出せるよう、後押ししていきたいと考えています。会社名である「WizTry(ウィズトライ/一緒に挑戦する)」には、そんな想いを込めました。
もともと、起業家や目標に向かって努力する人のストーリーに触れることが好きで、YouTubeや本をよく見ていました。その中で出会ったのが、YouTubeチャンネル「アキオブログ」です。「すべての人に可能性がある」という彼の言葉に強く共感し、「人はいつからでも変われる」と本気で思えるようになりました。この価値観が、独立を決意する大きなきっかけになっています。
AI事業を始めた直接のきっかけは、ChatGPTに触れた時の衝撃でした。自分の業務が劇的に効率化されるのを体感し、「これはホワイトカラーの仕事のあり方を根本から変える」と確信しました。ただAIを学ぶだけではなく、AIを使いこなした先に「仕事」や「人生の変化」がつながっていく。その状態まで支援したいと考えるようになりました。
今の社会を見渡すと、「楽しく働けている人」や「前向きに働けている人」は、決して多くないように感じます。私自身、いわゆる安定したレールから外れて一歩踏み出してみたことで、非常に多くの学びと充実感を得ることができました。だからこそ、同じように動き出したい人たちのために「道をつくる」存在でありたいと思っています。ウィズトライは、単なるAIサービス事業ではありません。スキルを通じて、「自分の人生をもっと面白くする」「自分が本当に生きたいように生きる」ための一歩を支える場所でありたいと考えています。
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将来的には熊本で「大人の学校」のような場所を作りたいです。
私たちがまず熊本の企業と強固な関係を築き、DX化のニーズを創出していく。そして、私たちが運営するスクールでAIスキルを学んだ人たちが、学んだスキルを即座に熊本の地場企業の「実際の仕事」で活かせる、そして新しいことに取り組める仕組みを作っていきたいです。「学び」と「仕事」を直結させ、本気でスキルを身につけたい人が集まり、その人たちが熊本の企業をアップデートしていく。そんな「成長の好循環」が生まれる未来を描いています。
また、いつか海外で活動してみたいという想いもあります。大学院時代に国際学会へ参加した際、日本人の技術力や真摯さは、世界でも十分通用すると感じました。一方で、海外の舞台に飛び込む日本人は、まだまだ少ないとも感じています。だからこそ、私自身がまず海外で動き出し、その道を切り拓くことで、「自分も一歩踏み出していいんだ」と思える人が増えていったら嬉しいですね。自分は開拓していくのが好きなんだと思います。
末松光太郎さんに10のQuestions!
Q1
独立したての頃に、お仕事をさせていただいていた熊本のタレント・スザンヌさんから言われた「目の前の人は1人じゃなくて、その人の後ろには100人の人がいるんだよ」という言葉です。それ以来、一人ひとりとの出会いを大切にすることを常に心がけています。
出来事としては、ある上場企業様との年間契約をやり遂げた後、「2年目もぜひ同じ契約でお願いします」と言っていただけたことです。自分の提供した価値を認めていただけたと実感でき、大きな励みになりました。
Q2
AI/DX関連でいうと、「ホワイトカラーとブルーカラーの逆転現象」や「全人類、企業家時代」といった、AIが社会構造を変えていく流れに注目しています。
また、大学時代に遺伝子研究していたこともあり、アンチエイジングの仕組みの解明には非常に興味があります。起業家として長く現役で活動し続けるためにも、健康寿命や若々しさは重要なテーマだと感じています。
Q3
長所は、時代の流れを掴めるところと、目標への執着心と実行力。「やる」と決めたらそれがまわりから無理だと言われるような目標でも、結果が出るまで没頭し、頑張り続けられるところがあります。例えばボディメイクの大会に出場した時も、仕事と両立しながら結果が出るまでやり続けました。
短所はこだわりが強すぎるところでしょうか。成果物に対して「自分で責任を持ちたい」という思いが強すぎて、人に任せるのが苦手でした。なんでも自分でやってしまおうとする点があるので、事業を拡大する上で課題だと感じています。
Q4
最近、私が口を出さず、従業員や業務委託のメンバーがゼロから企画・運営した生成AIのイベントが、自分がやる以上に素晴らしいものになったことです。集客から内容まで全てをやり切ってくれた姿を見て、「人に頼っていいんだ」「みんなで頑張っていこう」と心から思え、非常に感動しました。
Q5
人が何かに「やってみよう」としているとき、その前から否定したり、可能性を潰したりするような言動には、強い違和感を覚えます。
私は否定されるほど燃えるタイプですが、すべての人がそうではありません。だからこそ、他人の一歩を否定するのではなく、背中を押し、応援する存在でありたいという想いが強くあります。
Q6
60点です。
将来的には「挑戦であふれる世界を創りたい」「人から目標とされる存在になりたい」という大きな目標があります。そこから逆算すると、今の自分の成果も、まわりに与えられている影響力も、まだまだこれからだと感じているからです。
Q7
「人生の価値」そのものです。私自身の人生を一言で表すなら「挑戦」という言葉になります。目標を決めて頑張ることは、私が最も没頭できることであり、全てを懸けられること。「挑戦こそが自分の人生の目的」であり、死ぬまで続けたいことです。
Q8
ボディメイク(筋トレ)です。以前「ベストボディ・ジャパン」の大会で入賞した経験があり、来年も再び大会に出ようと、仕事と両立しながら体づくりに取り組んでいます。
オンオフを分けるタイプというよりは、プライベートの時も全力で走り続けていたいタイプ。下手に休むとだらけてしまいそうなので、「やる時はやる」という方が、向いている気がします。
「ベストボディ・ジャパン」に入賞した時の写真
Q9
独立後に働きすぎて倒れたこともありましたが、一番辛かったのは人間関係のトラブルですね。信じていた方から数百万単位のお金が返ってこなかったり、初めて雇った社員が3ヶ月で辞めてしまったりした時は、眠れなくなるほど悩みました。
一時期は人を信じられなくなりかけましたが、今は「末松さんを支えたい」と言ってくれる従業員やスタッフに恵まれています。まわりのメンバーに助けられているおかげで、再び前向きに取り組むことができています。
Q10
自分自身が、安定したレールから外れてでも行動し続ける姿を見せることで、誰かに勇気を与え、次の一歩を踏み出すきっかけになれる存在でありたいと思っています。そして、熊本から日本へ、さらに世界へと、「動き出す人」が増えていく。その輪を広げていくことが、私の目標です。
※本記事の情報は、掲載日もしくは更新日時点のものです。(更新日: 2026年02月05日)
Profile
プロフィール
末松光太郎/Kotaro Suematsu
ウィズトライ株式会社 代表取締役
ウィズトライ株式会社 代表取締役。九州大学大学院修了後、製薬企業に技術職として勤務。自分の強みを活かしきれないもどかしさを感じ、自身の可能性を信じて30歳で独立。映像制作やSNS運用代行を経て、生成AIの可能性に衝撃を受け、AI・DX支援事業へ転換。現在は故郷・熊本を拠点に、「挑戦で溢れる世界を創る」ことをミッションとし、企業向けの生成AI導入支援やリスキリング事業、AIスクールの運営を手掛ける。自身の挑戦する姿を通して、挑戦の輪を広げている。
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