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永吉健一さん

pin_fill_rounded_circle [#ffffff] Created with Sketch. 福岡市

「みんなの銀行」取締役頭取

「みんなの銀行、本気で“みんなの”にしていきたい」

「みんなの銀行」の頭取を務める永吉健一さん。福岡銀行で20年以上、銀行員としてキャリアを積んできた永吉さんは、社内起業という形で“銀行の未来”に挑戦した。マーケティングに特化したiBankマーケティング株式会社を立ち上げ、そして2021年、デジタルバンク「みんなの銀行」を誕生させる。福岡から全国へ。いま永吉さんは、銀行のカタチそのものをアップデートしようとしている。

History

これまでの歩み

1995年 22歳

株式会社福岡銀行入行

正直、自分が銀行員になるとは思ってもいませんでした。就職活動を始めるのが遅かったので、気づいたら受けられる企業がほとんど残ってなかったんですよね。入ってからも「すぐ辞めよう」と何度も思っていました。でも、「この仕事ができるようになったら辞める」と決めてなんとか続けているうちに、「銀行を極めるには一生かかる」ということがわかり、そこから気持ちが大きく切り替わりまして。「銀行を再定義」するうえでの「銀行の常識」を、当事者として深く知る原点です。

2007年 35歳

ふくおかフィナンシャルグループの設立に従事

経営統合という金融業界の大きな変革を、経営企画部門という中枢で経験。大きな組織を動かすダイナミズムと難しさを学び、既存の枠組みを越える視点を持つきっかけとなりました。

2016年 44歳

iBankマーケティング株式会社を起業

いち銀行員の立場から企業内ベンチャーを立ち上げることに。 当時のふくおかフィナンシャルグループの社長から「10年後、銀行はどうなっているのかを想像しなさい」と言われ、そこからバックキャスティングで、10年後に向けてどんな新しいビジネスをつくるべきかを企画する、という宿題をもらったんです。

銀行はできることが法律ですごく制限されているので、普通に「新しいことを考えろ」と言われても、何でも自由にできるわけではないんですよね。どうしても思考の幅が狭くなりがちなんです。

そんななかで、社長がもうひとつ言ってくれたのが「今の銀行の延長線上じゃなくてもいい」という一言でした。確かに10年先なんて、法律も社会環境もどうなっているかわからない。今のルールの前提だけで考えると、発想が小さくまとまってしまう。そんな縛りを取っ払って考えてほしいという意図も含まれていたんだと思います。

とはいえ、当時の私は銀行員として20年近く働いてきた“どっぷり銀行畑”の人間。延長線上じゃなくていいと言われても、まったく新しいサービスを考えるのは正直なところ簡単ではありませんでした。「何をつくればいいんだろう」「どんな未来を描けばいいんだろう」と、毎日悩みながら試行錯誤していたことをよく覚えています。

2021年 49歳

「みんなの銀行」を設立・サービス開始

「新しい銀行をゼロから創る」という構想が形になった瞬間です。これまでの銀行員人生の集大成であると同時に、これからの未来に向けた新たな挑戦の始まりでもあります。

現在

Vision Map

永吉健一さんの未来地図

01

現在の活動内容は?

「みんなの銀行」の頭取として、スマホだけで使える新しい銀行サービスを福岡から全国へ広げています。
同時に、企業に対して銀行の機能をAPI*で提供する「BaaS(Banking as a Service)事業」も進めています。API提供先であるパートナー企業との共創を通じて、暮らしと隣接した様々な消費・購買と金融機能がシームレスに結び付いた新たなサービス体験の提供を目指しています。

デジタルバンクの魅力は、とにかく場所にしばられないこと。福岡にいながらでも、日本中、さらには世界中へサービスを届けられるんです。だから私たちは「地方か東京か」といった発想ではなく、福岡から世界レベルの価値をつくっていきたいと考えています。

また、実は立ち上げ当初からスタートアップを応援する企画やイベントも積極的に行ってきました。一般的に銀行は“安定していて当たり前”というイメージですが、私自身が社内起業を経験したことで、スタートアップの大変さや葛藤を身をもって知っています。だからこそ、銀行グループとして何か力になれる仕組みをつくりたいと思い、スタートアップを支援する取り組みを行っています。

* Application Programming Interface の略。銀行と外部の事業者との間のデータ連携を可能にする仕組み。

wallet

キャッチーなデザインが魅力の「みんなの銀行」アプリ画面

02

活動の原動力は?

新しい事業に携わるきっかけは、長く銀行で働く中で感じていた、「今の銀行って、デジタルネイティブな若い世代の価値観に本当に合ってるのかな?」という疑問でした。少子高齢化が進む日本ですが、10年後のメイン顧客になるのは、まさにその若い世代。だからこそ、今のうちに、金融をもっとオープンで使いやすく、その人らしく使えるサービスに変えたい。そんな思いが原点です。

そして原動力になっているのは、「未来の銀行を“今”をゼロからつくったら、どんな姿になるんだろう?」という純粋なワクワク感。それに共感して、当たり前を疑いながら一緒に走ってくれる仲間たちの存在が、とても大きいですね。

オフィス

最初は50人ばかりだった社員も、現在は300人以上と大規模に

03

描いている未来は?

サービス開始から4年が経ち、現在のユーザー数は約138万人(2025年9月末時点)。まだ通過点ではありますが、今後2〜3年で500万人規模までは到達したいと考えています。

「みんなの銀行」は、スマートフォンだけで完結する銀行として設計していて、特にZ世代やミレニアル世代などデジタルネイティブな若い層をメインターゲットにしています。カードを持つ必要もなく、スマホひとつで“デジタルのお財布”のように使えるのが大きな特徴です。

若いうちは収入も多くないかもしれませんが、年齢を重ねていけばお金も貯金してくれたり、資産運用をしてくれたり、保険を買ってくれたり、住宅ローンを借りてくれたりするようになっていきます。 若い世代が将来メインバンクを選ぶタイミングで、自然とみんなの銀行が候補に入るような関係性を築いていきたいと考えています。

一方で、すでにメインバンクが固定されている40代以上の方には、サブバンクとして便利に使っていただくイメージですね。自分へのご褒美であったり、いわゆるヘソクリ口座として活用いただくような、そんな立ち位置で使ってもらえたら嬉しいです。

そして私たちが目指しているのは、単なる銀行ではありません。「みんなの銀行」が、地域のさまざまなサービスとつながる“ハブ(HUB)”のような存在になる未来を描いています。

例えば小売店、交通、エンタメ施設など、地域の多様な事業者が私たちのBaaS機能を使って独自の金融サービスを提供できるようにする。そうすることで、金融が生活のあらゆるシーンに自然に溶け込み、地域経済そのものが動きやすくなるエコシステムをつくっていきたいと思っています。

銀行の従来のイメージを変え、金融サービスをより身近で使いやすいものにしていけたら。投資や株など、金融に関わるものはどうしても難しいイメージがある方も多いと思うんです。「お金の最初の一歩」のハードルを下げることに、今後も注力していきたい。今後10年かけて新しい銀行のカタチを作り上げていきたいですね。

Essence

永吉健一さんに10のQuestions!

Q1

活動しているなかで、心に残っている言葉はありますか?

お客さまからの「銀行らしくない」「こんな銀行を待っていた」という一言です。

ある意味、デジタルネイティブ世代にフォーカスしたサービスを提供しているので、40代、50代の方からすれば従来の銀行のイメージで違和感を覚える方も多くいます。サービス提供前に実施したユーザーテストを行った際にも、シニア層のお客さまからは総じて、「銀行にデザイン性はいらない」「パソコンで操作したい」といった声を頂きました。

一方で、まだ銀行との接点が少ない学生や20代の若年層の方からは、前述の「銀行らしくない(のが良い)」「お洒落なアプリで自分たち世代の銀行」といった声が。これまでに前例がない中で、自分たちが信じて進んできた道が、間違いではなかったと確信できた瞬間であり、今でも私たちの支えになっています。

Q2

今注目しているコトやモノはありますか?

Web3やステーブルコインといった、ブロックチェーン技術がもたらす新しい社会や経済のあり方です。これらの技術は金融の概念を根底から変える可能性を秘めていると感じており、常に動向を注視しています。

Q3

ご自身はどんな人? 長所と短所も教えてください。

周囲からは「挑戦者」「破壊者」と言われることも多いですね。自分では「未来の設計者」でありたいと思っています。

長所は「常識を疑い、まずやってみる」という行動力。短所は、思い立ったらすぐやらないと気が済まないせっかちなところです。

福岡の県民気質として『目立ちたがり屋』『開放的』、そして『新しもの好き』で『熱しやすく冷めやすい』と言われることがありますが、そのままですね(笑)。

Q4

最近、感銘を受けたことは?

最近、映画『国宝』とNetflixドラマ『サンクチュアリ』を観て深く感銘を受けました。これらの作品は、歌舞伎や相撲という世界を通じて、何事においても揺るぎない「基本」や「型」がいかに重要であるかを力強く描いていました。「型があるから型破り、型がなければ形無し」という言葉の本質に触れ、私たちの仕事も、金融機関としての「安心・安全」という盤石な「守り」があるからこそ、新しい挑戦ができるのだと改めて実感しました。この経験を通じ、仲間と共に「未来の銀行の姿」を創り上げたいという想いをより一層強くしました。

Q5

「これだけは許せない!」というこだわりや想いはありますか?

「前例がないからやらない」という言葉と、その背景にある思考停止です。現状維持は緩やかな衰退でしかありません。変化を恐れず、常に新しいやり方を模索し続ける、という想いは誰よりも強く持っています。

みんなの銀行の「INSIGHT」という7つの仕事の流儀の1つにも、「『できない』ではなく、どうしたら『できる』かを考えよう」というものを掲げていますが、まさにコレです。

Q6

今の自分に点数をつけるとしたら?

53点です。みんなの銀行は、私たちが描く未来の金融のまだ入り口に立ったばかり。やりたいこと、やるべきことは山積みです。まだまだ伸びしろしかない、という意味を込めて半分ちょっと。

また、人生100年時代。100年生きて100点なら、今は53歳なので53点が妥当です(笑)

Q7

もし生まれ変わるとしたら、何がしたいですか?

建築家です。ゼロからコンセプトを考え、図面を引き、多くの人と協力しながら、地図に残るものを創り上げていくプロセスに、今の仕事と通じる魅力を感じます。

Q8

今ハマっているものはなんですか?

冬キャンプ。まだまだ最近始めた初心者ですが、小さくはじめようと思ったものの、人とは違うユニークなアイテムを収集しはじめたらドンドンお金を注ぎ込むことに……。

キャンプ沼が怖いです。

『冬』限定なのは、キャンプ活動のオーナーである妻が虫嫌いなので。

キャンプ_1

キャンプは永吉さんにとって自然の中で癒される時間

Q9

影響を受けた、刺激を受けた本はなんですか?

『思考の整理学』(著:外山 滋比古)

新規事業の興し方やデザイン思考などのビジネス本やHow to 本のように理路整然としたスッキリ感は得られないかもしれませんが、紹介されている思考法や整理術のメソッドは今、書店に並んでいるこの類の本の総集編のような充実度で、私もいくつか実践しています。

Q10

あなたにとって「夢」とは?

「みんなの銀行」を、日本(世界)中の『みんな』が使う新しい金融のスタンダードにすること。そして、お金のしがらみから解放され、誰もが「本当にやりたいこと」に挑戦できる社会のインフラを創ることです。

※本記事の情報は、掲載日もしくは更新日時点のものです。(更新日: 2026年02月05日)

Profile

プロフィール

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永吉健一/Kenichi Nagayoshi

「みんなの銀行」取締役頭取

1995年、㈱福岡銀行入行。経営企画部門に在籍し、経営統合によるふくおかフィナンシャルグループ設立、その後のPMI業務に従事。2016年、企業内ベンチャーとして、新しい金融プラットフォームを提供するiBankマーケティング㈱を起業。2021年、立上げをリードしてきた日本初のデジタルバンク『みんなの銀行』がサービス開始。2022年4月よりみんなの銀行の頭取を務める。