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三木浩江さん

pin_fill_rounded_circle [#ffffff] Created with Sketch. 福岡市

NEO福岡会長

「海外で挑戦したからこそ見えた、日本そして地域の課題」

福岡で、地方創生のベンチャーで日本初の共創型経済団体『NEO福岡』を立ち上げた三木浩江さん。学生時代からビジネスに興味を持ち、世界中を巡り、アグレッシブに挑戦をし続けてきた。その想いは、世界から日本へ、日本から地方へと矢印が向いた。「ムーブメントは若者から」。まさに福岡で渦を作り出している、その活動とは?

History

これまでの歩み

2010年 16歳

父の事業がうまくいかなくなる

父はサッカー日本代表のトレーナーを務めたこともある、「ゴッドハンド」と呼ばれるほどの腕を持つ人でした。体の不調を瞬く間に改善してしまうような技術がありながら、ビジネスには無頓着。価値をうまく伝えられず、さらに詐欺にも遭ってしまい、借金を抱えることに。「授業料が払えないかもしれない」「今月は電気代が危うい」――そんな現実を家族として経験しました。そのときから「ビジネスって何だろう」「経営ってどうすればいいのだろう」と考えるようになりました。

「どんなに技術や思いがあっても、価値を伝えられないと、経済的にも精神的にも苦しくなってしまう」。この現実を体験したことが、今の事業に取り組む原動力となっています。

2014年 20歳

ベトナムでグローバルリーダーシップの研修を受ける

人生のターニングポイントを挙げるなら、この研修だと思います。

現地で日本のいいものや有名企業が受け入れられていない現実もわかり、

海外で「日本を世界に広めたい」「ビジネスをやってみたい」と考えるようになったきっかけでした。

当時はまだ19歳。ビジネス論というよりも、「どう生きるか」「私は何者なのか」という“在り方”を考えさせられる時間でした。海外では肩書きではなく「あなたはどんな人?」と聞かれるので、必然的に自問自答が続きます。そのときの私の答えは、「私はスポンジです」。なんでも吸収してやろう、という気持ちでした。

研修では、最年少で最低学歴。正直、ついていくだけでも必死でした。ペアを組んだのは東大生。彼から「お前ムカつく」「嫌い」と言われたこともあります(笑)。でも最後は仲良くなって、今ではいい思い出です。人と向き合い、自分の心とも向き合う、そんな濃い2週間でした。

2016年 22歳

抹茶で世界一周をする

1年間、抹茶の商談やイベント開催、飛び込み営業で世界を一周しました。抹茶がブームにはなりつつありましたが、まだまだグローバルには知られていない頃。抹茶をビジネスに、新規事業開拓したいと、アジアやアメリカ、ヨーロッパなどをまわりました。

大事にしていたのは「現地に足を運ぶこと」。地道に、その土地のキーパーソンを見つけて、情報を集めたり、現地の人を紹介してもらったり。潜在顧客になりそうな人には直接DMを送るなど、できることは全部やりました。

2019年には、ご縁あって南米ペルーで起業して抹茶の海外展開ビジネスに従事。南米No.1の抹茶ブランドとなり、コロナ期は南米最大級のオンラインJAPAN FESも開催しましたが、最初から順風満帆だったわけではなく、悔しいことも悲しいこともたくさんありました。大好きな日本が、世界でプレゼンスを失っていることを強く感じました。「再び日本の価値を世界に伝えるには?」その課題が見えたきっかけでもありました。

ペルーにて

ペルーにて

2025年 30歳

「NEO福岡」を立ち上げる

海外から日本へ帰り、地域経済への新しい循環を生み出したいという想いで、地方創生のベンチャーで日本初の共創型経済団体『NEO福岡』の立ち上げを行いました。地域の若者・企業・プロスポーツチームが連携し、地方創生と次世代育成を一体的に推進する地方創生の新しいモデルです。

きっかけは、弟が日本最年少のプロスポーツチームの社長になり、新しいベンチャー企業を立ち上げたこと。スポーツは、世代や産業を超えて心でつながるプラットフォームになります。"地元企業のやりたいこと"と"若者の挑戦と成長"を掛け合わせることで、“想いを実現する人が増える社会”を目指し、日々奮闘しています。

現在

Vision Map

三木浩江さんの未来地図

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現在の活動は?

私は現在、NEO福岡という「若者・企業・地域が共に挑戦し、共創する日本初の共創型経済団体」で会長を務めています。若者・企業・地域・スポーツが手を取り合い、「世代・産業を超えた共創で、心も経済も豊かな福岡を創る」ことをビジョンに掲げています。

具体的な取り組みのひとつが、次世代育成を通じた地方創生を推進する 「NEO ACADEMIA -地方創生の学校-」 です。

この約1年間の超実践型プログラムでは、地域で選抜された30歳以下の若者と、NEOに参加する企業から派遣されたメンバーがチームを組みます。企業の経営課題や地域の社会課題に向き合い、アイデアの創出から事業企画・実証・発信までを実際に経験。プロスポーツチームや行政、学校などとも連携しながら、現場で挑戦とフィードバックを重ねていきます。単なる「学び」ではなく、リアルな挑戦を通じて、地域とともに未来をつくる次世代リーダーを育てる。それがNEOの特徴です。

なぜ舞台を福岡にしたのか? それは、福岡で出会った人たちが本当に温かく、「福岡に来てくれてありがとう」と迎えてくれたからです。業界を越えて地域のために団結する文化を肌で感じ、気づけば私自身が福岡の人々に惹かれていました。「頑張ろう!福岡」で一つになれる、この土地こそが理想の舞台だと確信したんです。さらに、福岡は都市としても成長し続けていて、交通の便もよく、アジアの玄関口として日本と世界をつなぐ可能性を秘めています。ここから、日本の未来を担う人材と企業が育ち合うエコシステムをつくっていきたいと思っています。

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地元福岡を中心に、教育、まちづくり、起業、クリエイティブ、スポーツ、文化の分野で活躍する意欲的な挑戦者たちを輩出

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活動の原動力は?

何よりみなさんの応援。「よそ者なのに、福岡のために動いてくれてありがとう」と、多くの経営者の方に言っていただいて。それが「頑張ろう」と進んでいく大きなエネルギーになっています。

根本的な原動力は、“想いを実現する人が増える社会をつくりたい”という願いです。夢や志を語る人が「でも現実は…」と諦めてしまう姿を、何度も見てきました。だからこそ、仲間や仕組みがあれば一歩を踏み出せる、「誰かの挑戦に光を当て、共感と応援の連鎖を生むことで笑顔の輪が広がる、心が豊かになる」その瞬間こそが、今の私のエネルギーです。

もう一つの原点は、札幌でプロバレーボールチームの経営再生に携わった経験です。地元企業と共に地域課題をプロジェクト化して取り組む中で痛感したのは、「想いを形にできる若手人材が圧倒的に不足している」という現実でした。

実際、挑戦したい気持ちはあっても資金や仲間が集まらず、夢を諦めざるを得ない若者をたくさん見てきました。私自身、海外での起業経験を通じて、素晴らしい商品や文化も“社会に共感される形”に翻訳できなければ届かないことを痛感。悔しい思いと同時に、今の世代がその信頼を未来につなぐ責任を強く感じました。

だからこそ、「誰もが想いを実現できる社会」をつくり、私たちの世代で “JAPAN AS NO.1 AGAIN” を実現したい。それが今の原動力です。

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描いている未来は?

私の目標は、福岡を 「挑戦する人が最も応援されるまち」 にすることです。誰かの想いに、人も企業も地域も本気で伴走できる――そんな社会の実装拠点を福岡につくりたいと思っています。そのためにNEO福岡では、世代や産業を超えてフラットに交流できる環境を整え、人・資金・想いが循環する“共創のハブ” を育てています。まずは福岡から始め、それを日本全国、そしてアジアへと広げていく構想です。

例えば台湾でプロジェクトを起こすときには、現地の若者や企業が共に動き、逆に海外の企業が福岡に来たときには自然にディスカッションやコラボが生まれる。そんな国境や世代を越えた「挑戦と応援のネットワーク」をつくることが、目指す未来です。

そしてその先には、地方から日本全体を元気にし、日本のプレゼンスを再び高めていく。そんな未来を描いています。

Essence

三木浩江さんに10のQuestions!

Q1

活動しているなかで、心に残っている言葉は?

「自分たち大人がリスクとって次世代にもっとしないといけないのに、君たち若者がリスクを取って走ってくれてありがとう」。

営業に行った際に、そう言ってくださる方が何人かいました。グッときます。

Q2

今注目しているコトやモノ、場所などはありますか?

プレイフルネス、Playful マインド。

真剣な挑戦の中に、遊び心と余白を持ち続けることが、創造や共感の鍵だと感じています。

Q3

最近、感銘を受けたこと、感動したことはなんですか?

「最近、福岡に渦起こしてるね」と経営者の方々にお声がけいただいたこと

「NEO福岡」の活動に休学してコミットしたいという学生が3名現れたこと。

人生の大切な時期を一緒に走ることへの責任感も感じ気が引き締まりましたが、ゼロから作った団体がそう言ってもらえるようになったことに感動しました。

Q4

「これだけは許せない!」というこだわりや想いはありますか?

・環境を自らの力で変えていけるのに、それに気がつかず、他人のせい、環境のせいにして自己防衛状態の人を見ると、もったいないなと悲しい気持ちになります。

・価値や想いが上手く伝わっていない状態を見るとモヤモヤします。

・「誰かの可能性を最初から否定すること」。人の可能性は、捉え方、環境と応援でいくらでも変わると信じています。

Q5

今の自分に点数をつけるとしたら? その理由も教えてください。

95点。

まだまだ未熟ですが、今自分ができる最大限を行っているから。「足るを知る」。ありのままの自分を社会に表現できていると思うから。でもまだまだ人間性を磨いていきたい。謙虚で感謝の気持ちを忘れず、常に心と心で人と会話できる状態の自分を目指しています。

Q6

座右の銘を教えてください。

「目の前の環境は自分の一歩で変えられる。”better” “should”ではなく”want”で言動する」

Q7

心を整える方法は?

休みの日は、基本的に「何もしない時間」を大切にしています。ぼーっとしたり、体を整えるトレーニングをしたり。日々、多くの人と会って情報を受け取る分、心と体を整理して、湖面が静かに戻るような状態にリセットするんです。

結局たどり着いたのは、「姿勢」と「呼吸」。体にも思考にも癖があるので、その張りをほぐして、本来あるべき場所に戻してあげる。そんな感覚です。実は私、メディテーショントレーナーの資格も持っていて、それも活かしながら日常に取り入れています。

イメージとしては「歯磨き」と同じ。体を洗ったり歯を磨いたりするように、なぜ思考や脳の掃除はしないのか? そう思って、眠る時間も含めて、日々“心と思考の掃除”をするようにしています。

Q8

最近ハマっていることは?

ピラティス、足の裏と指の柔軟性つけること。

Q9

あなたにとって「夢」とは?

“未来への願い”

それを見つけるためには、まず「今」の自分の心の動きを信じて、行動してみること。誰かを応援したい、何かを変えたい、その小さな願いこそが、夢の入り口だと思います。

Q10

死ぬまでに一度はやっておきたいことは?

世界中の仲間をドームに集めて感謝祭。

イメージとしては、2万人、4万人規模の人たちが関わってくれて、世界中から仲間が集まるような場をつくりたいんです。その中心で「アイラブユー」と伝える。まるでアリアナ・グランデのライヴのような、そんなエネルギー感を目指しています。

最近は特に「感謝を伝えること」に力を入れていて、家族全員に手紙を書いたり、この半年で形になった福岡での活動を振り返りながら、みんなに感謝を伝える会を開いたりしました。関わってくれた社長や、仲間を紹介してくれた方々には、お礼の品と一緒に手紙を届けるようにもしています。

Profile

プロフィール

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三木浩江/Hiroe Miki

NEO福岡会長

NEO福岡会長。企業・若者・地域・スポーツをつなぐ共創型経済団体「NEO福岡」を主宰。世代・産業を超えた共創で、心も経済も豊かな福岡を創るを掲げ、福岡を実証フィールドに次世代リーダーの育成と地域事業の共創に取り組む。学生時代からの海外での起業経験や、プロスポーツチーム運営による地方企業との地域活性化の実践知を活かし、“想いを実現する人が増える社会”のインフラ創造を掲げている。