地域のミューズを発掘するメディア
これまでの歩み
広告代理店の下請けとして、のぼりや看板を作り、言われたままのものを作って言われた場所に納品する仕事をしていました。
2009年頃から業績が赤字になり、Webやメルマガのコンサル事業も始めてみたのですが、思うような成果は出ませんでした。人員も限られている中で、あれこれと中途半端に手を出してしまった結果、本業の業績も悪化してしまったんです。
「このままではまずい」と危機感を覚えた僕は、「もしかするとB to Cの方が向いているのかもしれない」と考え、うどん屋を始めてみました。ありがたいことにそこそこお客さんが来てくださり、「広告もしていないのになぜだろう」と不思議に思って聞いてみると、多くの方が「店前ののぼりを見て」と答えてくださったんです。
このとき初めて、「自分たちがつくる販促物には集客効果があるのだ」と実感しました。結局、うどん屋自体の業績は伸びずに閉店することになったのですが、この経験がなければ迷走したまま、販促物の事業も続けられていなかったと思います。
河原さんの講演イベントをお手伝いする機会があり、直接お話をさせていただきました。そのとき、私は「自分のやりたいことや進むべき道に迷っています」と正直に打ち明けたんです。すると河原さんは、「僕もラーメンを作っていて、最近まで迷っていたよ。45〜46歳になってようやく、ラーメン屋をやることに確信が持てた」とおっしゃったんです。
テレビチャンピオンで活躍し、海外展開まで成功させている方でさえ、迷いがあったのかと驚きましたし、同時にとても気持ちが楽になりました。「こんなにすごい人でも、迷いながら進んでいるんだ」と。迷っていてもいい。僕もこのまま思った道へ突き進もうと思えたきっかけでした。
僕も社員もバスケットボールが好きという理由で、福岡のバスケットボールチームのスポンサーをしていました。チームの営業の方が東京へ転勤したことをきっかけに、東京から仕事がくるようになったんです。それを転機に、スポーツチームを支援する事業が始まりました。私たちは単に販促物をつくるだけではなく、チームが抱えている悩みを深く理解し、その解決につながるソリューションを提供しています。例えば、広告ツールを新たに開発するといった取り組みもそのひとつです。
スポーツチームへの投資は、ある意味「お布施」のようなもの。余剰資金を応援の気持ちとともに提供する、そういった側面もあると感じています。
以前の僕は、社員数が少ないことにコンプレックスを持っていたんです。まわりの友人の会社は大きく、社員数も多い。その中で「自分の会社は小さい」「伸びていない」と思って恥ずかしく感じていました。ですが、顧問である友人に「恥じるべきは社員数の少なさや売上じゃない。赤字を出す経営であって、社員数や規模ではない」と言われて、「自分は何でこんなに見栄を気にしていたんだろう」と思いました。それまでの僕は「売上の伸び」や「社員数」といった外から見える部分ばかりにこだわっていた。でも、その一言をきっかけに、営業利益や社員の給与といった“本質的な指標”を意識するようにシフトできたんです。これは本当に大きかったですね。人づきあいについても変わりました。以前は経営者仲間と飲みに行くことが多かったんですが、今は減らしています。理由は「比較してしまうから」、そして「お金も時間も使うから」。結局、お客さんと会って事業のことを考えている時間の方が、確実に会社を伸ばせると気づいたんです。
山本啓一さんの未来地図
01
販促物、ディスプレイ、ノベルティ、LEDビジョンという3つの商品をスポーツチームやスポーツイベントに提案して、スポーツチームの会場やイベントを盛り上げる仕事をしています。また、店舗や不動産、展示会、合同説明会のブース装飾なども行っています。以前は広告代理店の下請けとして、のぼりや看板を作り、言われたままのものを作って言われた場所に納品する仕事をしていました。それらを通じて実現したいのは、顧客の課題解決の支援であったり、人と人とのご縁つなぎです。
スポーツイベントにて。会社で制作した看板
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1つは、スポーツイベントなどで自分たちが制作したバナーやのぼり旗の前で、家族連れが写真を撮っている光景に出会えたときです。そんな瞬間を見ると、とても嬉しくなります。
もう1つは、社員たちの給与や働く環境をより良くしたいという思いです。その実現が自分の大きな原動力になっていますし、さらに、みんなが楽しそうに働いている姿を見ることも励みになっています。
一緒に働くチームの仲間たちと
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事業としては、スポーツチームを手がけている以上、東京は外せない拠点になってきています。最近はさまざまなリーグのお仕事もいただいており、そのたびに東京へ出張しているのですが、やはりここに視点を置いたり、人を配置したりすることは、スポーツビジネスを広げるうえで必須だと感じています。
正直、「東京を目指す」という言い方は、あまりかっこいいとは思っていないんです。ただ、事業展開を考えるうえで、東京は避けて通れない。秋田や北海道、富山に行くにも、結局は東京がハブになるんですよね。悔しい気持ちもあるので、できるだけ地元で粘りたい気持ちもありますが(笑)、直近の2〜3年は東京での展開が大きなテーマだと思っています。
その先の第二弾として考えているのが、インバウンド向けのビジネスです。僕らが扱う商品は「和」の要素を取り入れたものが多く、例えばはっぴや扇子といったアイテムです。今はスポーツを中心に展開していますが、売り先をインバウンド市場に切り替えるだけで大きな可能性がある。リサーチしたところ、かなり良い価格で売れることもわかりました。こうした分野にも挑戦していきたいですね。
山本啓一さんに10のQuestions!
Q1
工学博士の田坂広志さんの講演に行ったときのこと、田坂さんは32歳のときに「死の宣告」を受け、絶望していたそうです。そんなとき、ある禅寺のお坊さんから「人間は死ぬまで命がある。だから死ぬまで生きなさい」といった言葉をいただいた、と話されていました。この言葉を聞いたとき、僕自身もすごく勇気をもらいました。しかも、田坂さんはその後、病気が治ったそうです。人間って「もうダメだ」と思えば本当にダメになってしまう。でも、その逆もある。このお坊さんの言葉は、今も僕の励みになっています。
Q2
福岡。福岡は本当にいい街で、ポテンシャルもすごくあると思います。だからこそ「もっと開花してもいいのに!」と思うことも。もっと突き抜けるような経営者が出てきてもいいのにな、とは思いますね。経営者たちみんな優しすぎるのかな。
Q3
長所は、人に嫌われないところ。短所は、多動なところ。思ったらすぐ動いてしまうところがあります。
Q4
映画『鬼滅の刃』。ストーリーはもちろんなのですが、何より「画」が本当に素晴らしい。この背景ひとつをつくるのにどれだけ多くの人が携わっていて、どんな想いを込めて描かれたのだろうと思いを馳せると心動かされるものがあります。
Q5
60点ですかね。
とりあえず21年もの間、事業を続けてこれたということへの評価と、今50代で、人生100年時代と思うとまだまだ成長の余地があるな、と思っています。一生現役で、死ぬまで働いていたいですね。
Q6
あまり、自分が挑戦している感覚はないんですよね。むしろ挑戦していると思っている時は、それほど事業がうまくいっていないことが多いんです。顧客のニーズにしっかりと応えているだけの方が、事業としてはうまくいく感じがします。
Q7
世界一周ですね。やっぱり、いろんな世界を見ておきたいんです。
以前、アフリカのナイジェリアに行ったことがあるんですが、本当に衝撃的でした。汚いし、町はうるさいし、ご飯は口に合わないし(笑)。一緒に行った方々はみんな素晴らしい経営者でしたが、口を揃えて「早く帰りたい」と言っていたくらいです(笑)。でも、そんな旅だったからこそ強烈に印象に残っているんですよね。これからも、そういう貴重な経験をたくさんしていきたいと思っています。
Q8
「原動力」。どんな小さいことでもいいと思っていて、たとえば「素敵なマンションに住みたい」とか。叶えたい夢があることで、頑張れるというところはあると思っています。
Q9
ダウンタウンの松本人志さん。
あれぐらい面白いこと言えたらな、と思います。この仕事を始める前は2年ほど吉本の芸人をしていたのですが、やはり芸人さんってすごいなぁと思っていました。売れている方は、本当に頭がいいです。あとは人脈の多さと、運の良さもありますね。
Q10
人のご縁をつなぐこと、そしてその場を盛り上げることだと思います。
「モリアゲアドバイザー」と名乗ったりもしているんですが、過去を振り返ると全部が点でつながっているんですよね。お笑いをしていたこともそうだし、高校時代のこともそう。僕自身はそんなに目立つグループじゃなかったんですけど、一番目立つやつから「お前のまわりって、なぜか人の縁ができるよな」って言われたことがあるんです。当時はよく意味がわからなかったんですが……。
でも今思えば、あのお笑いの経験や人からの言葉も含めて、全部が「ご縁をつなぐ」「場を盛り上げる」ことにつながっている。振り返ってみると、やっぱりそれが自分の使命なんだろうな、と勝手に認識しています。
Profile
プロフィール
山本啓一/Keiichi Yamamoto
モリアゲアドバイザー「エンドライン株式会社」代表取締役社長
1973年生まれ。大学に5年間在学し中退。その後、芸人・フリーターを経験。27歳で初就職し、過酷な飛び込み営業を経験。入社3年後には社内トップとなる売上1億円を達成。
2004年31歳でエンドライン創業。のぼり・幕・看板事業一筋20年。
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