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青木大一郎さん

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いろいろ株式会社 代表取締役

「人生いろいろ、世界がちょっと楽しくなる循環を」

コンサルティング会社やWeb事業などさまざまな経歴を経て、一時は無職に。そして、“事業をデザインする会社”「いろいろ株式会社」を創業。何かに縛られることなく、「やりたいこと」「できること」「楽しいこと」などをベースに多角的なアプローチで事業を展開している。

History

これまでの歩み

1994年 15歳

アメリカの高校に留学しようとする騒動

中学から高校に上がるとき、勉強がしたくなさすぎて、「だったら環境から変えてしまおう」と、親に「アメリカの高校に留学したい」と言ってみたんです。すると親は、「ニューヨークに知り合いがいるから、そこまで行って自分で学校を決めてこられたら行っていい」と。今思えば、なかなか突き放した条件ですよね。「え〜!?」と思いながらも、春休みに単身でアメリカに行ったんです。ニューヨークの日本人の方の家に滞在し、その方の助けを借りて空軍系の寄宿制学校を見学し、「あとは自分で」とのことだったので(笑)、辞書片手に入学に必要な書類についても説明を受けました。英語も話せないにも関わらずよくやりとりできたなと思いますが、その場はなんとかなり、あとは帰国してからの手続き、というところまでいったのですが、帰国後、学校の先生が家庭訪問に来た際に父親が「留学するのは逃げではないか」といきなり反対されまして。結局留学は実現しませんでした。 でも、「やろうと思えば実現できるものだ」と思えるいい経験になりましたね。

2002年 23歳

母の他界。バックパッカーの旅に

大学院1年のとき、母が体調を崩して他界しました。闘病中は看病で福岡の実家に戻っていたのですが、他界した後も残された父のことが心配だったのでしばらく実家に残り、1年間休学することに。時間ができたのでアルバイトをしたりもしていたのですが、「せっかくだし、どこか行ってみようかな」と思い立ちまして、専攻していたのがイギリスの教育政策の歴史だったので、その流れでイギリスへ行くことにしたんです。最初は2週間ほどの予定でしたが、長期のチケットと値段が変わらなかったので、思い切って半年ほどヨーロッパを回ることにしました。僕は背が190cmと長身で、もともと天パで(今は坊主です)くるくるした髪という見た目もあって、覚えてもらいやすく、海外の方とも仲良くなれましたね。簡単な料理ならできたので和食をふるまったりしながらいろんな人と交流するうちに、バカンス中だったカナダ人の実業家に出会いました。お金はあるけど、若い人たちと交流したいからと、わざわざユースホステルに宿泊している方で、話がとても面白かったし、単純にカッコよく見えたんです。もともと研究職に進むことを考えていましたが、「一度社会に出て、ビジネスの世界を見てもいいかもしれない」と思うようになったきっかけになりました。

2011年 32歳

家族で九州に移住。自分は東京で義理の祖父と住む

卒業後はコンサルティング会社に就職し、東京で働いていました。その後、二度目の転職の際、「九州に住みたいね」という話になり、妻と子どもは九州で生活することに。僕は仕事の関係で東京に単身赴任。一人暮らしを続けるには何かと出費もかさむため、当時80歳を超えて一人暮らしをしていた妻の祖父の家に同居させてもらうことに。少し不思議な組み合わせでしたが、数年間の二人暮らしをしていました。大正生まれの祖父が生きてきた時代のいろいろな話を直に聞くことができ、とても貴重な時間でした。

2014年 35歳

資本主義を理解し始めてサラリーマン引退を決意

あるとき、「これが株式会社というものか」と痛感する出来事がありました。その時、初めて資本主義の現実を理解した気がしたんです。サラリーマンである以上、自分の思い通りには動かせない。そんな限界を感じるようになりました。

ちょうどその頃、家族が住む福岡での生活を増やしたいと考えていたこともあり、退職を決意。月の半分は福岡で生活、その間はリモートで勤務という二拠点生活を開始。

2018年 39歳

いろいろ株式会社を創業

前職を退職後、数カ月の無職の期間を経て、さすがに働かなくては、と思い起業しました。今までのキャリアでシステム開発のほか事業開発の全般の経験があったので、友人をはじめ、いろいろな人から九州の経営者を紹介してもらい、いろいろな会社を手伝いながら、これという事業を決めていなかったこともあり、いろいろなことができるようにと思って「いろいろ株式会社」という名前にしました。

現在

Vision Map

青木大一郎さんの未来地図

01

現在の活動内容は?

いろいろ株式会社は2018年創業の“事業をデザインする会社”です。クリエイティブ、広報・PR、広告など多角的なサービスを提供しており、売上の約3分の2はコンサルティング業務(新規事業立ち上げ、広報PRのアウトソース、DXなど)が占めます。残り3分の1はLINE公式アカウントを活用したサービス「いろいろらいん」によるスタンプラリー・アンケート・顧客管理機能の提供です。また、3年前からはゲストインタビュー形式のウェブ番組「いろいろTV」を運営し、人の話を聞く面白さを軸に情報発信を続けています。

活動全般が“遊び心で世界をちょっと楽しく”がテーマ。例えば未確認生物(UMA)の調査・研究・啓蒙を通して社会課題の発見や解決を目指すプログラム「UMAアドベンチャーラボ」という研究機関も運営しています。佐賀県の離島における過疎化や空き家問題、観光資源の発掘など、地域との協働を通じて新たな関係人口の創出を目指した活動にも参画しています。

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UMAアドベンチャーラボのイベント、発見したUMAデザインのTシャツ屋さんを開店

02

活動の原動力は?

大切にしているのは「楽しむこと」です。LINEサービスのスタンプラリーで、イベントや観光地で人々が楽しむ姿を見ることや、プロスポーツチームの試合運営で観客の笑顔を目にすること、クライアントの業務効率化によって社員の負担が軽くなる声を聞くことなど、喜ぶ人が増える瞬間に喜びを感じます。

クライアントとの関わり方は伴走者ではなく、「グレガリオ」になることを意識しています。「グレガリオ」は僕も最近知った言葉なのですが、ヨーロッパなどの自転車レースで、エースを勝たせるために先頭に立って風よけになってチームを引っ張る役割です。かなりコミットするようにしていますね。コンサル会社時代の上司に学んだ「お客さんより詳しくなる」という姿勢を大切にし、特に中小企業のオーナー社長など地域を支える方々とは、自分の意思を持って主体的に取り組むことを重視しています。経営者と直接対話することが大事。特に大きな決断を伴うプロジェクトでは、意思決定権を持つ人としっかり話す時間を取るようにしています。ただ、経営者は多忙なので、まず自分なりの仮説や提案を作成し、それをもとに話をすることが多いですね。そこから経営者の考えとのギャップを理解し、仮説をアップデートしていくというアプローチをとっています。

03

描いている未来は?

今後も多角的な取り組みをすることで、新しい価値を生み出していきたいです。LINE公式アカウントの活用サービス『いろいろらいん』においては、人と人との繋がりを生み、地域やイベントをより楽しくする仕組みを提供していますが、LINEを利用することの良さは、双方に負荷なく繋がりを作れることだと考えています。繋がりができることで再度来てもらったり、友達に紹介してもらったりと、ファンを増やすことに寄与できる。「デジタル活用」というと小難しく聞こえるかもしれませんが、『いろいろらいん』によって地域やイベントが楽しくなり、運営者も一緒に楽しめるといったイベントにしていきたいです。

また、「UMAアドベンチャーラボ」では、ユーモアを交えながら社会課題を「楽しく」考える場をつくり、大人も子どもも参加しやすい循環を生み出すことを目指しています。

事業で培った挑戦力と創意工夫を地域に還元することで、人々が楽しみながら関わり、地域全体がより活気づく未来を描いています。

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UMAアドベンチャーラボで佐賀県の加唐島で島の人も一緒にUMAを調査

Essence

青木大一郎さんに10のQuestions!

Q1

心に残っている言葉や出来事はありますか?

子どもも大人も参加者が楽しんでいる笑顔。「次はいつあるの?」という言葉。

Q2

今注目しているコトやモノは?

「MUSE」(本メディア)。

Q3

長所と短所を教えてください。

長所:のんき。

短所:のんき。

Q4

今の自分に点数をつけるとしたら?

70点。及第点ですね。でも、まだまだいける!

Q5

座右の銘を教えてください。

ケ・セラ・セラ。

Q6

死ぬまでに一度はやっておきたいことは?

妻と2人でバカンス。

Q7

もし生まれ変わるとしたら、何がしたいですか?

生まれ変わっても自分がいいです。

でももうちょっとうまく生きたいですかね。お金のことよりも楽しいことを優先してしまうので(笑)。収益を上げることに集中してみたいです。そうしたらもっと楽に生きれそう、とは思ってしまいます。

Q8

人生にキャッチコピーをつけるとしたら?

「人生いろいろ」。

Q9

落ち込んだ時はどうしていますか?

あまり考えすぎない。うまくいくことだけを考えます。

Q10

あなたにとって「夢」とは?

妄想して、実現すること。

Profile

プロフィール

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青木大一郎/Daiichiro Aoki

いろいろ株式会社 代表取締役

1978年生まれ。神奈川県鎌倉市出身。福岡育。いろいろ株式会社 代表取締役。幼少期から高校までは福岡、大学から上京。大学・大学院では教育史や教育政策を専攻。修士課程修了後、コンサルティング会社(アクセンチュア)に就職、製造業・インフラ業向けの業務/システム再構築に従事。コンサルティング会社(ビズオース)の立ち上げに参画、ポストM&A期の業務再構築や新規事業立ち上げを経験。キャリアチェンジし、医師向け情報提供を展開するエムスリーのグループ企業(エムスリーキャリア)の拡大期に非常勤医師向け事業責任者として事業成長に貢献。ベンチャー企業2社に取締役として参画、新規Webサービス開発、ブランディング、資金調達など幅広い分野を経験。2018年にいろいろ株式会社を設立し、事業開発・資金調達支援、ヘッドハンティング、LINE活用サービス『いろいろらいん』の展開、プロスポーツチームの運営支援、学生インターンのプロジェクト推進などを展開。「ひとびとが幸せを感じる事業をふやし、世界がちょっと楽しくなる循環を構築する」ことを目指し、日々活動中。