Wellness
生理痛やPMS予防だけじゃない!脳疲労や肌のうるおいにつながる「会陰マッサージ」
デリケートゾーンのお手入れで健康な膣をキープすると、生理痛やPMS対策につながるだけでなく、現代女性にありがちな冷えや不眠、脳の疲れといった不調をやわらげる効果が期待できることをご存知でしょうか。誰でもかんたんにチャレンジできる膣ケア「会陰マッサージ」をチェック。おすすめされる理由、そして具体的なやり方について、フェミニティLABO講師・中田美絵さんにうかがいました。
2022.02.11公開
「出産時の痛みを和らげる」「切開の確率を減らす」「産後の負担をやわらげる」といった産前産後に妊婦さんが行うマッサージケアとして一般的に知られている会陰マッサージ。
出産をスムーズにするという目的で行う女性が多いといわれていますが、この会陰マッサージはあらゆる世代の女性にメリットがあることが近年注目を集めています。
そもそも膣まわりの筋肉は、女性の健康と密接に関係するパーツ。身体をマッサージして血行促進させるのと同じように子宮まわりの筋肉をケアすることで、生理痛やPMS、冷え性といった不調をやわらげる効果が期待できます。
さらに東洋医学の視点から考えると、会陰は百会(頭部にあるツボ)と関係があり、気や血の巡りに関わる経絡と結びついているようです。
脳にある視床下部から脳下垂体に司令が出てホルモンが分泌されるという身体の構図からも分かるように、冷え性で困っている、長時間スマホ使用で脳が疲れている、夜眠れないという方にも会陰マッサージは有効とされているのです。
デリケートゾーンケアは正しい知識を持って行わないと肌トラブルにつながる可能性があります。会陰マッサージ初心者さんもチャレンジできる膣ケアについて中田さんに教えていただきました。
会陰マッサージに使用するオイルやローションは、どんなものを使えばいいのでしょうか?
会陰マッサージに使用するものは、デリケートゾーン用のオイルやクリームを推奨しています。というのも経皮吸収力が違う顔・身体用のコスメは、顔や足首にブツブツができるなど肌トラブルを引き起こす可能性もあるんです。とくに精油は注意が必要ですね。日本のアロマテラピーは海外に比べて法律基準が曖昧なところがあるので、専門的な知識を持った方の指導がないとデリケートゾーンに精油を使うのは控えた方がいいと思います。
赤ちゃんや小さなお子さまが使えるようなオイルはどうでしょうか?肌にやさしそうで安全なイメージです。
オイルの質が気になりますので、赤ちゃんやお子さまが使えることを基準に考えるより「安心してデリケートゾーンに使える」ことが大切だと思います。酸化した油は身体に良くないといわれていますし、正しい知識を持たないまま赤ちゃんも使えるから大丈夫だろうとデリケートゾーンに使うのは肌トラブルの元になってしまうことも……。書籍やネット上にある情報を鵜呑みにして肌がかぶれてしまったというケースもあるので、正しい知識を持つことは本当に大切です。
なるほど。だからデリケートゾーン専用のアイテムをおすすめされるのですね。
このようなデリケートゾーンに対して安全に使えるものを選んでいただけると安心です。
とりあえず自宅にあるものでやってみよう!というスタンスはNGということですね。はじめて会陰マッサージをされる方も多いと思うのですが、いつどこで行うのがおすすめですか?
会陰マッサージで血流を促進することが目的ですので、お風呂上がりがいいですね。身体が温まった状態でデリケートゾーン用のオイルやクリームを手に取り、膣まわりの筋肉(大陰唇と小陰唇あたり)に沿って8の字を撫でるように描くやさしいマッサージを1分間ほど行ってください。小陰唇がペタンコになっていたり萎んでいる場合は1つ1つ手で軽くつまむようにマッサージすると、ふっくらします。デリケートゾーンに使える高品質のオイルがあれば、会陰部分をパックしてあげるのもおすすめです。
まさにボディマッサージで血流が促進され、肌がふっくらするのと同じ感覚ですね。
膣も筋肉ですから。スマホの使用をはじめ、テレワークのように座る生活が増えている今、内臓を支えている骨盤底筋の筋肉が硬くなり身体に影響を与えてしまうこともあります。会陰マッサージは膣まわりの筋肉をほぐすことが目的ですが、子宮まわりは身体の健康を維持する大切な場所。そういう意味でもぜひ日常のケアとして会陰マッサージを取り入れてほしいです。運動不足で筋肉の老化が進むのと同じように、何もしなければ会陰も硬くなってしまいますから。本当はセルフプレジャーをおすすめしたいところですが、抵抗ある方もいらっしゃると思うので会陰マッサージから始めてもらえたらと思います。
小陰唇や大陰唇まわりを中心とした外側の会陰マッサージを教えていただきましたが、膣内をマッサージする方法もあるそうですね。こちらはどうでしょうか?
膣内を刺激して女性ホルモンの活性化を目指すといった方法は海外などで行われていますが、膣内のケアは、それこそ専門家の指導の下、正しい知識とやり方を学んだ上で行わないと身体に負担をかけてしまいます。例えばお風呂でデリケートゾーンを洗う時。膣の中は自浄作用があるため普通の石鹸で膣の中を洗うのはもちろん、シャワーで膣内を激しく洗うのもダメです。
膣の内部を洗浄するビデもありますが、これは大丈夫ですか?
ビデなら安心と乱用を続けると、膣内フローラのバランスが崩れたり膣内の菌を殺してしまう可能性があります。デリケートゾーン用の石鹸を使う場合も膣の中ではなく膣の外を洗うのが基本。自己流アレンジで膣内をケアするのはストップしてくださいね。
デリケートな部分だけあって複雑ですね。膣内の会陰マッサージは誰に教えてもらうか、その情報源がどこからきたものかを理解することが重要とあらためて感じました。
産婦人科の先生や助産師さんでも会陰マッサージを推奨している・していない、いろいろな考えがあります。私は「ちつのトリセツ 劣化はとまる(著:原田純)」を監修されたたつのゆりこ先生をはじめ、海外などでも学びましたが、フェムケアの専門家であるフェムリスト®を育成するフェミニティLABOで会陰マッサージを教える機会を増やしています。今年は膣ケアに関するフェムリスト®検定もスタートする予定ですので、デリケートゾーンケアに興味ある方は、ぜひ挑戦していただけると嬉しいですね。
デリケートゾーンの専門知識を学ぶ検定ですか。それは楽しみですね!
正式名称や解剖学の知識も学んでもらいますので、かなり本格的です。それだけ正しい知識を取り入れないと身体のトラブルにつながりますから。生理用ナプキンがなかった時代に生きた女性は、膣まわりが強かったといわれていますが、和式から洋式へと変わり、現代人は昔の人に比べて内転筋が弱くなっている傾向があります。健康で若々しい身体を目指すなら膣からトレーニング。その膣が硬くなっているなら「会陰マッサージ」です。
膣まわりを温めてマッサージでほぐす会陰マッサージなら誰でもかんたんにスタートできそうですね。
冷えや生理痛、PMSはもちろん、肌のハリやうるおいなど、女性の美と健康に良い影響を与えてくれますので、この機会に取り入れてみてください。
Toucher Beauty Design 代表
麻布ウイメンズクリニック ケア室運営、各種スクール事業
OI METHOD バイスプリンシバル エステティシャン育成講師
メディカルアロマテラピー講師、一般社団法人日本全国麹協会味噌インストラクター
タイ伝承医療産後ケア女性ケアユーファイ講師、フェミニティLABO講師
月経痛や肌荒れ、ホルモンバランスの崩れ、子宮の病気を患い3度手術。自分自身が経験したライフステージの不調と向き合ったことをきっかけに、女性ホルモンについて着目し、伝承医療から最先端医療まで学ぶ。現在は麻布ウイメンズクリニックにて、産前産後ケア、更年期ケア、フェミニンケアなど、女性に寄り添うサロン運営に携わる。「女性の笑顔を増やしたい」という信念を抱き、フェミニティLABOにて女性特有の体と心の悩みを解決に導くフェムテック業界の専門家「フェムリスト養成講座」の講師として活動中。
ライフスタイルライター|日本化粧品検定1級|TCカラーセラピスト|旅、美容、グルメ、おしゃれ、働くアラフォーの心に響いたリアルライフを執筆
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