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まさに“チョコレート革命”。「人生変えるチョコレート」をプロデュースするアーティスト・小林愛花さん
世界一周チョコレートの旅を経て、会員制&紹介制のチョコレートブランド「Aika Chocolat」を立ち上げたチョコレート・アーティストの小林愛花さん。ただのチョコレートではなく、魂やエネルギーがこもった唯一無二のチョコレートをプロデュースしています。愛花さんがチョコレートを通じて世界に伝えていきたいこととは?
2025.05.26公開
小林愛花
Aike Kobayasi/10年の会社員生活を経て、世界一周チョコレートの旅へ。2022年に10年目でローソンを退職し世界一周チョコレートの旅へ出発。7カ国31都市、75万歩のチョコの歩みを通して世界中150人のチョコクレイジーに出会う。帰国後、完全紹介制「Aika Chocolat」をプロデュース。人生に情熱の炎を灯してくれたチョコレートを通して、『人が輝く瞬間』を創造すべく活動中。2024年10月に、フランスのチョコレート愛好家で結成された「クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ」(通称C.C.C.)でのアワードにて愛花さんの店「AikaKobayashi」が最高位の金賞を受賞。
愛花:直営店舗などはなく完全オンラインの会員制及び紹介制で、会員様のみプレミアムなチョコレートを楽しめるシステムにしています。販売しているチョコレートは一箱で10,000円くらいすることも。決して安くはないかもしれませんが、それだけ価値のあるチョコレートは提供していると思っています。
愛花:味や産地、製造法はもちろん大事。でも、私にとっての最優先事項は、その奥にいる“人”です。チョコレートには、作り手の“魂”や“エネルギー”が込められていると思っていて、それはきっと、見えない部分で心に響くはずだと思っています。
愛花:はい。それゆえ私自身が直接会って「この人、やばい!」と心が震えた二人のショコラティエさんから原材料を購入しています。そして、その人たちのエネルギーを一粒一粒のチョコレートに込めてそのまま届けたいと思った時に、大量生産ではなく人の手を介して伝えることが大事だな、と感じて。それで会員制&紹介制にしました。
愛花:質がいいのにこしたことはないのですが、最優先ではないかもしれないですね。コンビニのチョコレートだって、美味しいじゃないですか。自分の心が高まることが大切だと思うんです。私が目指しているのは、「一粒のチョコをきっかけに人生が変わること」や、「さらに輝く自分になっていただくこと」。なぜなら、私自身がチョコレートのおかげで人生が変わったんです。その原体験が、大きいですね。
愛花:大学卒業後に大手コンビニチェーンの会社に就職したのですが、最初は店舗勤務なので、肉体労働なんです。朝7時過ぎに家を出て、夜の10時に帰ってくる日々で、バイトの子が飛んじゃったら自分がシフトを埋めなきゃいけなかったりするので、まったく休めない時もあり、28日連勤したことも。身体的にキツいうえに、一緒に働いていた先輩が厳しくて。毎日、「今日私ができなかったことリスト」を挙げてくるんです。それが一年続いたら本当に心が折れちゃって、人生で初めて「絶望」という感覚を味わいました。何をしていても楽しくないし、なんのために生きているかもわからない。「親を悲しませたくない」という理由だけで、なんとか生きているという感じでした。
愛花:そうですね。相当、キテいたと思います(笑)。いま考えるととても不謹慎なことだと承知のうえですが、当時は「事故に遭って3カ月くらい入院できないかな……」とか、本気で考えていました。そんなとき、たまたま観た月9ドラマ『失恋ショコラティエ』にどっぷりハマったんです。このドラマは石原さとみさんが主演で、恋愛特有のほろ苦さとか、ワクワクやドキドキ、そんなシーンにすごくときめいて、久々に胸がキュンっとしました。なんといってもそこに出てくるチョコレートがときめくほどツヤツヤで、石原さとみさん演じる紗絵子さんが、そのチョコを見ながら「かわいい〜!」と目をキラキラさせながら言うんです。紗絵子さんのキュートさ、チョコレートの美しい描写、ドラマ全体のキュンキュンする雰囲気、すべてからエネルギーをもらえて、すごく元気になりました。
もともとお菓子作りは好きなのですが、これをきっかけに自分でボンボンショコラを作ってみたら、なんだかとても楽しくって。そこからですね、私のチョコレート人生が始まったのは。
愛花:はい。会社勤務はそのまま8年ほど続けました。その間に商品開発担当になり、さまざまなスイーツのプロデュースをさせていただきました。チョコレート作りは完全に趣味で、チョコレート作り教室も開いて、のべ300人くらいは参加してくれたし、チョコレート屋巡りを何十店舗もして、同じようにチョコ好きなチョコ友もたくさんできたのですが、それを仕事にしようとは思ってなかったですね。というか、仕事にできるとは思っていませんでした。
でもチョコレートのおかげで世界がとても広がったし、チョコ友と美しいチョコレートを持ち寄って味わい、お互い感性も刺激される日々で、それまで灰色だった人生に彩りを帯びてゆく感覚がありました。大袈裟かもしれませんが、本当にチョコレートで人生が変わったんです。そのおかげで、辛い仕事も乗り越えられました。
愛花:コロナ禍になり人生を見つめ直す時間ができたことと、病気を患ったこと、ですね。世の中がコロナ禍になりしばらくたった頃、体調を崩して入院したんです。手術で治ったのですが、入院や手術も初めての経験で。このとき、人生は一度きりで、人は誰しもいつ死ぬかわからない、と強く感じました。きっとご先祖さまが、「いつまでそこにいるんだ!」と背中を蹴り上げてくれたんじゃないかな。致命傷までいかないけどメンタルがやられるような、いい塩梅の負荷をかけてくれたような(笑)。今思えば、そんな「愛」を感じますね。
愛花:はい、ようやく。「私、いま死んだら無念だわ」と。後悔しない人生を選択しなければ、と思いました。それで退職して、退職金の全額をフルベットして世界一周チョコレートの旅をしたんです。
愛花:3カ月かけて、7カ国31都市行きました。今使っている原材料も、このとき出会ったショコラティエさんのものです。ショコラティエや農園の方など、のべ150人くらいは会ったと思います。ただ、そのぶんいろんなアイデアが頭の中で溢れかえり……帰国してから少し精神を病みました(笑)。
あれだけお金をかけて世界各国を巡ってきて、まわりの人も応援してくれているのに、何をすればいいのかわからなくなってしまって。「どうしよう!」となっていたのですが、そんなときに助けてくれたのがデオブロマの土屋公二シェフでした。
愛花:はい。何度かお会いしたことがあり面識があったのですが、土屋シェフ主催のイベントに友達が誘ってくれて、久々にお会いしたんです。それで、「今何してるの?」と聞いてくださって、「実は悩んでるんです」みたいなことをお話したら、その後、2日間くらいLINEで「これ、カウンセリングじゃない?」というほどみっちり相談に乗ってくださって。アドバイスというより、「あなたはどう生きたいのか」「何を人生で成し遂げたいのか」と、質問を投げかけていただいたのですが、そのおかげで自分の頭の中も整理されたのか、ある日突然、「紹介制のショコラティエ」というアイデアが降ってきたんです。ちょうどその日は12月25日で、「神様からのクリスマスプレゼント!?」という感じでした。
愛花:プレ販売として、40人限定で友人に案内したら、お陰様ですぐにすべての枠が埋まりました。
愛花:そうですね。基本的にゴール設定はして、あえてその方法やプロセスはあまり考えないようにしています。これはいまでも徹底しているかもしれません。方法を考えすぎてしまうと可能性が狭まってしまうような気がしていて。
顕在意識は1%で、潜在意識は99%とも言われているじゃないですか。何かを決めるのはもちろん自分なんですけど、そこさえ決めたら99%の見えない世界の力が働いてくれると思うんです。そこに委ねてしまったほうが、ファンタスティックなアイデアが出てくるので、そのやり方はブレずにいまも続けています。
愛花:潜在意識については勉強をしていました。今では企業コーチングや現実創造の講座のお仕事をすることもあります。チョコレート販売以外でも、メンバー限定でメキシコ3都市のカカオ農園ツアーを開催したり、フランス・パリにあるチョコレート屋さん巡りをしたり、旅のツアーやイベントを企画することもあります。それも、チョコレートを通して五感に響かせていただくため。参加された方は人生の転機になったり、さまざまな変化を感じていただけたようです。
愛花:カカオは古くから神聖な儀式にも使われていましたし、目に見えない特別なものが存在しているのは、と思っています。私自身がチョコレートに助けてもらった経験があるので、私の人生に情熱の炎を灯してくれたチョコレートの話を通じて、情熱に従って生きる人にパワーを与えることができればと、全国を巡って講演活動もしています。
愛花:いろいろチャレンジしたいことはありますが、大きな夢としてはいつか“カカオワンダーランド”を作りたいんです。そこは、チョコレートのテーマパーク。ただチョコレートを楽しむだけでなく、ここへ来るだけで自己変革しちゃうような、世界の見え方が180度変わったり、意識進化してしまうような場所にしたいんです。それを地元の前橋に作りたい。
そういった意味では、絵本も作ってみたい。子どもたちが読んでいるだけで目覚めちゃうみたいな本(笑)。潜在意識ってすごいパワーがあると思っているのですが、子どもの頃から潜在意識が触れることで、全世界の人が目覚めるのではないか?と。
自分がマインドセットして「この世界は全部自分が創っている」ということを認識してから、人生がガラッと変わったので、多くの人にそんな体験をしてもらいたいんです。
愛花:いまこの地球ではさまざまな問題がありますが、一人ひとりが個性を発揮して輝き、「自分の人生を生きる」ということが、世界平和への近道なんじゃないかな、と思っています。チョコレートはその一助になるのではと思っていますが、プラスαの要素は必要になってくると思っています。いまそれは模索中。自分自身の解像度をもっと上げて、視座を高めていけたら、と思っています。
愛花:すべての人に奇跡を起こせる力は持っているはずなんです。でも、やはり肉体があるので、自己防衛本能などが働いて、“変わりたくない”“現状維持したい”という気持ちが出てきてしまうんですよね。私もそうでした。そして、本来の自分からどんどんかけ離れてしまう。私が目指していることは、一人ひとりが本来の自分に還るためのチョコレート作り、そして活動をしていくこと。形は変われど、それはずっと変わらないと思っています。
チョコレートの原料であるカカオは、古代マヤ文明の時代から、「人の心のカギを開き、その運命を解き放つ」力を持つと言われてきました。
もちろん、その作用もあるかもしれません。でも、カカオの力だけでなく、ショコラティエや愛花さんのエネルギーが入ってこそ、「一人ひとりが輝く、人生が変わる」チョコレートが完成するのでしょう。
それだけ、人のパワーとは計り知れないのだと、感じました。チョコレートはきっと、魔法のスイーツ。一粒一粒を味わうことで、特別な時間を過ごしてみましょう。
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