Interview
♯グッドバイブスウーマンvol.8<YONAさん/作家・糸の宝飾家>
#グッドバイブスウーマン。その方の信念や生き方、在り方がわかるような、「10の質問」をお届けします。本連載は、グッドバイブスな友人・知人をご紹介していくリレー形式。第八回目にご登場いただくのは、作家、糸の宝飾家のYONAさん。
2025.01.17公開
YONA
沖縄生まれ。糸の宝飾家。文化服装学院でファッションデザインを学ぶ。乖離状態の中で感受したあらゆる現象を糸で繋ぎ合わせ”結晶”に変えて造形表現。かぎ針編み(クロッシェ)の手法でコスチュームジュエリー、アートピース、オブジェクトを制作。2014年よりコスチュームジュエリーブランド「PLANET OPERA THEATER」本格始動。「糸の宝飾」「糸の彫刻」を命題に掲げ作家として東京を拠点に活動中。著書に「Crochet 基礎のレース編みで魅せるコスチュームジュエリー」(マガジンランド刊)がある。
A.現在は糸の宝飾をコンセプトに創作表現活動をしています。
学生を卒業してすぐにレジンを使ったコスチュームジュエリーをつくりブランドとして活動していた時期もあります。
若くて勢いがあったことと、当時はまだ作風や素材が新しかったことで今思えば周囲からとても評価してもらえていたのですが、求められるままに受注分の制作をこなしているうちに、ただゴミをずっと生み出し続けているような罪悪感に駆られ、同時期のファストファッションの大量生産・大量消費の流行に対する強いアレルギー反応も重なって、精神的に続けることが難しくなりました。
一つひとつの作品に思いが乗っている手仕事を好きな気持ちがより一層高まって、もともと趣味で編んでいたクロッシェレースの着け襟をつくったことが現在の活動の最初のきっかけです。
クロッシェレースはヨーロッパの文化ではあるけれど、古くから現在に至るまで世界中で愛され残っている伝統手芸、手仕事という事実が私にとってはずっと価値のあるものとして存在しています。
ただ、骨董市やアンティークショップなどで扱われる手編みのクロッシェレースは、その当時の仕事量を考えるととても信じられないほどの低価格で取り引きされています。
この脈々と続く天から与えられた神業とも思える創作物が、わたしには宝石よりも価値の高いものと感じていて、金属や貴石と並ぶくらい社会的にもこの手芸の素晴らしさを認知してもらいたいと願い、レース編みのジュエリーというひとつの柱が生まれました。
糸は長い年月を経てなくなってしまう物質ではあるけれど、先人の手から編み出された智慧と恩恵はこの先も人間がこの世にいる限りずっと長く続くものだと信じて、かぎ針編みの手法にこだわって作品をつくっていきたいです。
また、糸を編んでいると自分がこれまでにぼんやり過ごして体験してきたことがひとつのイメージとして現れてくることがとても面白く、創作を経て気づくことも多く宝物のようでもあり、メッセージ性をのせて表現できることや、社会や自分以外の人と繋がるための大切な生命活動となっています。
A.外界とのコミュニケーションで無知を知ること、発見することが原動力になっています。
無関係と思っていたことが実のところで関係して影響し合っていて、すべてのことが地繋ぎで道となって現れることに、ことあるごとに感動しています。
活動を続けるにはスムーズなことばかりではないし、好きなことと隣り合わせで苦手なこともたくさんあって苦しかったりもしますが、それでも諦め悪く続けていると、壁だと思っていたところに突然魔法みたいに扉が現れて、新しい世界に導かれる面白味があります。
偶然のような必然が網細管まで血流が届いてワクワクする喜びに繋がり、力になっています。
A.「古くから続くもの」「美しいもの」「新しい価値」「面白いこと」「手仕事」「珍しいもの」。
人として生きることを考えたときに、この6つの要素がユニークで豊かな世界線に導いてくれると信じています。
あと、自分には叶えられないだろうと思い込んでるけど本心ではほんのり叶えてみたいことは1度はチャンスが与えられてだいたい叶う、ということも40代の今、確信を得ています。
A.使命。
自分の能力やできることを他外に注ぎ生かすこと。
A.「いとなみ」。
言霊や語感、言葉の響きを大切にしています。
”いとなみ”は糸の波、波長や琴線のようなものが現実世界全域に張り巡らされているイメージです。
人間の営みが良くも悪くも社会全体の雰囲気をつくっていると感じるので、私自身のいとなみと周囲の関わる人のいとなみの響き合いを大切にしたいです。
A.転機は数えきれないくらい、語りきれないくらいたくさんあります。
この機会で話せることとしては、2015年6月、32歳になる年にいったはじめての海外旅行、ベルギーフランスへ美術芸術鑑賞とアンティークマーケットを巡る一ヶ月の旅。
かぎ針編みの教則本を出版して得た報酬を全ベットして高飛びしました。帰国後の電車賃もギリギリだった記憶。
もともと伝達する能力に対して強いコンプレックスがあり、自分の考えや思いを伝えるための翻訳機として日常的にタロットを活用しているのですが、ヨーロッパの芸術文化や絵画彫刻作品、街中に設置される象徴物に直で触れたときのインパクトは、わたしにたくさんのインスピレーションを与えてくれました。
特に、ピカソとブラックのキュビズムの潮流で、「芸術は発明」というその後の自分の活動に大きな影響を与える知見を受け取り帰国しました。
A.ミランダ・ジュライ「いちばんここに似合う人」
フィクションの物語。文章を読み進めるのが苦手ではありますが、唯一最初から最後まで読めた短編小説のオムニバス。脳内で映画のように文章が映像変換されて、その場所にわたしも居合わせているような、現地の空気が香りたつ錯覚を感じました。
少し風変わりな登場人物が一般的な世間の生活からはみ出した場に相応しく存在していたり、決して相応しくなさそうだけど、それでも”一番ここに似合う人”として描かれているストーリーが、居場所がないと感じていた自分自身の存在を肯定するお手本のひとつになりました。
A.生命の灯び。
希望の火を灯し続ける人、そのような人との出会いが自分自身の命を繋いでいるから。
芸術、表現。自他ともに。
A.古民家を購入して、先日やむをえずクローズした「ENTRANCE」の再開。
ショップギャラリーとして運営していましたが、再開する場合はスタジオと銘打って実験的なことも自由にたくさんしたいです。
作り手が集い、表現し、繋がり、響き合うサロンやシアターのような場づくりを夢見ています。
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