Wellness
食にまつわるドキュメンタリー作品たち。味だけじゃない食べ物への向き合い方
現在、世界は様々な食問題に直面しています。今回は、食にまつわるドキュメンタリー作品をご紹介。フードロスを始めとした、様々な問題を取り上げた映像作品をまとめています。今の現状や、食への向き合い方を考え直したい方は、ドキュメンタリー作品から触れてみてはいかがでしょうか。
2021.03.26公開
食のドキュメンタリーを観るべき大きな理由に、現在の食の安全性が問われる時代になっている、というものがあります。私たちは、日々食卓に並ぶ食材を「安全だ」と思って食べていますよね。しかし実際は、人体に影響を与える食品が数多く存在して可能性が。
遺伝子組み換え作物や、調味料の数々。私たちの身の回りにあるジャンクフードも、人体に様々な影響を与えるもの。たくさんの食品が食べられる現代だからこそ、食べものの安全性に目を向けるべきなのです。
食に関する課題は、国際問題のうちの一つです。特にSDGsの観点から問題視されているのが、フードロスです。フードロスとは、まだ食べられる状態なのに廃棄される食品のこと。食品として作られた農水産物のうち、なんと3分の1が捨てられているというデータがあります。
フードロスがSDGsで問題になっているのには、食品廃棄にかかるコストが関係しています。食品の廃棄には、専用の施設や機械などが必要になります。燃料代も莫大ですし、ゴミを埋める土地もなくてはいけません。
この状態が続くと環境が破壊されてしまい、未来にこの地球を存続できなくなります。食に関するドキュメンタリーでは、そのような実態が描かれているものも多くあります。
「"棄てない"闘い!」とは、BSテレビ東京の「ガイアの夜明け」という番組で放送された作品。日本国内で発生しているフードロスを取り上げた番組です。日本では年間600万トンもの食品が棄てられてしまいます。ロスされる食品の中でも、過剰在庫や賞味期限などで廃棄される食べ物に、焦点が当てられています。
捨てられてしまう「ワケあり」の食品を売るために、販売先を探す企業。調理現場での廃棄を減らすため、アイデアと腕を振るう一流シェフ。それぞれ異なる立場にいる人々の、食品ロスへの奮闘を追ったドキュメンタリーです。
「それ、棄てるの待った!」も、「ガイアの夜明け」という番組のドキュメンタリー作品。現在、世界情勢の影響から多数の「商品の売れ残り」が発生しています。そんな現状を受け、余った調理加工品や惣菜を活用するため、システム作りに奔走する姿が取り上げられています。
また惣菜だけでなく、余ってしまったパンを蘇らせるための挑戦も取り上げられています。内容は、パンの切れ端を生かし、美味しいビールを作るというもの。「美味しいものから、更に美味しいものを作る」という、食のアップサイクルへの奮闘を描きます。
フードロスを描いた映画として人気なのが、「0円キッチン」という作品。世界で13億トンもの食品が棄てられている現状を受け、ダーヴィドは「廃棄される食品を料理する」という旅に出ます。植物油で走るよう改造した車にキッチンを取り付け、ヨーロッパ5カ国を巡るというドキュメンタリー。
捨てられてしまうはずの食品を料理することで、現在ある食問題の現状を照らし出しています。それと同時に、フードロスに対する取り組みをする人々との出逢いも描かれています。リアルなフードロス問題を体感できる、おすすめの映画です。
「もったいないキッチン」は、先程紹介した「0円キッチン」の続編として発表された映画。今作の舞台は日本。「もったいない精神」を知ったダーヴィドが、日本のフードロス現状を知るために、福島から鹿児島までを旅するというドキュメンタリーです。
日本におけるフードロス問題を見つめながら、どうすれば廃棄食品を減らすことができるのか、という解決の糸口に迫ります。コミカルで軽快なトークが多いため、どんな方でも楽しみながら観れるというのも魅力。
「もったいない!」も、世界や日本で起こっているフードロスを取り上げた映画作品です。生産や流通、小売販売など、それぞれの段階で発生しているフードロスに迫ります。食糧を選定する現場の人々や、専門家の意見を交えながら、驚愕の現実が語られています。
フードロスの根本的な原因は一体何なのか。私たちにできることはあるのか。食料廃棄の削減や、社会運動を誘発した、注目のドキュメンタリー作品です。これまでは見えてこなかった現実や、フードロスの影響を知ることができるはず。
食の栄養や安全性を描いた作品として、「あまくない砂糖の話」があります。こちらの作品は、俳優であるデイモン・ガモーの実体験を追ったドキュメンタリー。自分を実験台にして、砂糖が人の身体に及ぼす影響の記録です。
オーストラリア人の砂糖摂取量の平均を、低脂肪や健康を謳っている食品から摂取するというのが、ここでのルール。砂糖を一切摂っていなかった状態から、60日間の実験がスタートしました。また実験中のジャンクフードの摂取は禁止され、定期的な運動も課されている状況でした。
この実験の結果、デイモンは実験前と比べて体重が8キロ増加。その上、肝臓と精神に異常をきたしていました。摂取カロリーに違いはないのにも関わらず、砂糖を取るようにしただけでこのような結果になってしまったのです。どれほど砂糖が人体に影響を与えるか、実感できるドキュメンタリー。
「未来の食卓」は、給食のオーガニック化という取り組みを追ったドキュメンタリー作品。フランスパルジャック村の村長は、子供たちの未来のために「宅配給食と学校給食をオーガニックに」という試みを打ち出します。
「効果なオーガニック食材を使えるのか」「オーガニックにする意味はあるのか」と、最初は戸惑っていた村人たち。しかし次第に、オーガニック食品の価値や、これまでの食品の問題点に気づき始めます。フランスでオーガニックブームを引き起こした作品です。是非視聴してみてくださいね。
「スーパーサイズ・ミー」は、ファストフードが人体に与える影響について調べたドキュメンタリー作品。監督であるモーガン・スパーロックが自ら実験台となり、1ヶ月間マクドナルドのみを摂取する、というルールです。途中でドクターストップがかかっても続けた、実験の記録が描かれています。
ポテトやチキン、ハンバーガーを食べ続けるうち、まずお腹周りに脂肪がつき始めます。それからしばらく経つと、体力の低下や精神の疲弊が現れました。ハンバーガーを食べると、落ち込んだ気分が元気になる…という、中毒症状まで。ジャンクフードを食べ続ける危険性が、リアルに描かれた作品です。
「ありあまるごちそう」は、飢餓問題を取り上げた作品。世界では120億人分の食品が生産されているのにも関わらず、10億人もの人が飢餓に苦しんでいると言われています。世界で起こっている「食の不均等」をテーマに、飢餓問題について考察されています。
小麦を輸出しているのにも関わらず、2億人もの人が飢餓状態にあるインド。その一方で、毎日大量のパンが捨てられているウィーン。農家や食品を扱う企業などへのインタビューから、飢餓発生のメカニズムを探った作品です。
農業を舞台とした映画として、「モンサントの不自然な食べもの」という作品が挙げられます。私たちの周りには、「遺伝子組み換え作物」が使われた食品が存在します。本来地球には存在するはずがない「不自然な食べもの」は、一体どこから来るのか。遺伝子組み換え作物を生成する、モンサント社を直撃して作られた作品です。
モンサント社を追って行くうちに、農薬や枯葉剤、PCBなどの様々な薬品使用が明らかになっていきます。100年に渡るモンサント社の歴史と、現代の農業の現状が浮き彫りになった作品。
「フードインク」は、アメリカの食品産業問題を取り上げたドキュメンタリー。普段食べている食品の生産過程から、食の安全や農業の効率化の弊害などを浮き彫りにしています。
アメリカを取り巻く問題点を再認識すると同時に、食のあり方を考えさせられる作品となっています。自分たちが食べている食品が、一体どんな問題を引き起こしているのか知りたい方は、是非視聴してみて。
ドキュメンタリー作品からは、現実で起こっている様々な問題を、知ることができます。日本や世界がどのような食問題に直面しているのか、という現実を教えてくれるはず。今回紹介した映画や作品などから、食問題について考えてみてはいかがでしょうか。
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