Wellness
苦しい生活の心強い味方。親子の食事を支援する「こども宅食」の取り組みについて
「こども宅食」ってどんな取り組み?どんな流れで行われるの?全国に普及しつつある、親子の食事を支援する活動について詳しくまとめてみました。こども宅食が求められる理由や、支援の方法などが分かるので、ぜひ目を通してみてください。
2021.03.24公開
「こども宅食」とは、生活が厳しい家庭のための子育て支援活動の一つ。平成29年度に、東京都の文京区からスタートしました。現在は文京区だけでなく、全国16の都府県でも活動が行われ、サポートの輪はどんどん広がってきています。
こども宅食の運営は、コンソーシアムという共同事業体で成立。文京区やNPO法人を始めとした6つの運営団体と、食品などを提供するパートナー団体が連携して運営しています。
ちなみに、運営の財源となるのは「ふるさと納税」を利用したクラウドファンディング。返礼品は生じませんが、集められた寄付の全てがこども宅食事業の推進に使われます。
こども宅食コンソーシアムの運営団体
こども宅食は、子育て家庭に食品を配達してサポートする活動。支援を必要とするそれぞれの家庭に、2ヶ月に1回の頻度で定期的に届けられます。また、食品だけでなく、生活用品を配達するケースもあります。
配達の形も、ただ届けるだけではありません。配達時のやりとりを通して、食品や生活用品以外のサポートに繋げられるようになっています。支援を必要とする家庭は、周囲から孤立しがちになる傾向が。こども宅食の配達は、病気や育児鬱など、さらなる困難に陥るリスクを回避するきっかけにもなりえます。
こども宅食の流れ
こども宅食の利用には、いくつかの条件があります。運営団体の一つである文京区が定めた対象世帯の条件によると、「就学援助受給世帯」「児童扶養手当受給世帯」「0歳から高校生世代の子どもがいる生活保護受給世帯」などが該当。高校生世代とは、18歳に達した最初の3月31日までとなります。
また、令和2年からはコロナウイルス感染症対策と関連して、対象者を拡大する傾向に。「ひとり親世帯臨時特別給付金」において基本給付が決定した家庭も対象になっています。
文京区が定める対象世帯
こども宅食が必要とされる最も大きな理由は、子どもの貧困が増えていることです。子どもの貧困は、世界的に見ても大きな問題。世界では5人に1人(約3億8,500万人)の子どもたちが極度に貧しい暮らしを強いられていると言われています。
そのため、貧困対策は国連が採択した「SDGs(持続可能な開発目標)」のターゲットの一つにもなっています。17あるSDGsの目標のうち、真っ先に挙げられるのが「貧困をなくそう」という問題。子どもの貧困も対象に、世界的な支援活動を必要としています。
日本でも、子どもの貧困とは無関係ではありません。厚生労働省の「2019年国民生活基礎調査」によると、日本の子どもの7人に1人が相対的貧困状態に。ひとり親世帯の子どもに限ると、2人に1人が相対的貧困状態だとしています。子どもの貧困が増えている今、こども宅食の存在は大きな意味を持ちます。
SDGsの貧困対策に関する支援は国内でも色々ありますが、こども宅食には申し込みの制約を取り除くというメリットがあります。
一般的な支援は、役所の窓口での申し込みが必要。しかし、仕事の掛け持ちで平日の窓口に行く余裕がなかったり、支援場所に行くための交通費を出す余裕がなかったりするケースも見られます。
LINE申し込みがOKで、各家庭に直接配達を行うこども宅食は、物理的な制約に縛られません。申し込みのハードルが低い支援として必要とされています。
こども宅食には、心理的な障壁を低くするというメリットもあります。「生活は苦しいけれど支援を受けるのは申し訳ない」、「支援を受けることを人に知られたくない」といった心理的な障壁から、一般的な支援がなかなか利用できないことも。
LINEを通じての相談ができるこども宅食は、人に知られる可能性が少ないというメリットが。また、配達でのやりとりで接点を持つことで、宅食以外の支援に繋げられる可能性もあります。
こども宅食に参加したい場合は、文京区のこども宅食の公式ホームページを通じて寄付をしてみましょう。現金の寄付や、法人限定ですが食品の寄付を行うことができます。
また、「こども宅食応援団」のホームページで寄付するのも一つ。「こども宅食応援団」とは、全国各地でこども宅食事業を実施できるよう、地域に合わせた支援を提供するために設立された団体です。「こども宅食応援団」でもふるさと納税による寄付を受け付けているので、活用してみてください。
こども宅食には、事業を実施するという形で参加することも可能です。全国各地に試みが広がるようになったとは言え、まだまだこども宅食がない地域も存在します。
「こども宅食応援団」のホームページでは、事業に関心を持っている方のためのサポートを受けることも可能。事業のための関連資料がダウンロードできるので、実施のために活用してみましょう。
こども宅食の取り組みは、全国でもニーズが拡大しています。寄付を通して応援することも大切ですが、取り組みを紹介することから始めるのも大きな意味を持ちます。
FacebookやInstagram、TwitterといったSNSでフォローしたりシェアしたりするのも立派な応援の一つ。自分に出来る形で、取り組みを応援していってみましょう。
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