Culture
私のバイブル vol.5/ファッション学園長・びばり〜えりさん
自身が持つ才能を活かし、クリエイティブな生き方をしている素敵な人に、ミューズたちの指針や道標となり、My Museの在り方を体現するような映画や本、アートをご推薦いただく「私のバイブル」。
2024.11.09公開
レオン 完全版 ©1994 GAUMONT/LES FILMS DU DAUPHIN U-NEXTにて配信中
第五回には、ファッションジャーナリストやインタビュアーとして活動する傍ら、ロサンゼルスでファッションとビューティの専門学校を運営し、学園長を務めるびばり〜えりさんにご登場いただきます。培った経験やノウハウを、生徒に教えるびばり〜さんの感性を刺激した作品とは? びばり〜さん自身をインスパイアしただけでなく、生徒たちに伝えておきたいメッセージのある3つの作品をご紹介します。
「私はロサンゼルスで、ファッションとビューティ専門学校の学園長をしています。 その学校のカリキュラムに採用している一項目が、“トレンドとファッションヒストリー”。トレンドは、その時代の世界情勢を密に反映しており、その時代の主人公たち(消費者1人ひとり) のファッションは、その時代の彼らの生活を表していますから、自分の好きなファッションが、どの時代のもので、その当時になぜそのようなアウトフィットが流行したのか、それを知ることが大事だと授業で教えています。分かりやすく映像で見せてくれるので、重宝している教材が映画です。シネマコスチュームを学びたい若者も、世界中からハリウッドに集まっていますしね。
1980年代のナチュラルなボヘミアン・ファッションとビューティを体現しているのは、『The Blue Lagoon(邦題:青い珊瑚礁)』です。 ラブストーリーなのですが、醍醐味はなんと言っても14歳で主演を務めた、女優ブルック・シールズの神々しさ! 本作での彼女のナチュラルで健康的な美しさや、当時流行していた太眉やボリュームのあるヘアスタイル、ホワイトアイボリーの配色でコットンの自然素材を使用したボヘミアンルックなどがとてもステキです。舞台になったサワイラウ島にある海中洞窟サワイラウ・ケーブは、どこか地元ロサンゼルスの海の街“マリブ”を彷彿させるので、好きです。その映像美とは対照的に、初潮を迎えるシーンもあったりして、内容はなかなかヘビー。ですが、少女から女性に成長していく様が儚く描かれていて、とても美しいのです」
「次にご紹介するのは、日本でも人気になった『レオン』。こちらも、13歳でヒロインを務めた女優ナタリー・ポートマンが、最高に可愛くて! 出世作となった本作での彼女の演技もさることながら、やはり私は、ファッションに注目します。同作では、ポートマン演じるマチルダが纏う、90 年代のUKストリートファッションがその最大の魅力。ナインティーズを象徴するMA-1のフライトジャケット、チョーカー、コンバットブーツ、ピタッとしたトップス。役柄そのままに、少し背伸びしたようなコケティッシュでパンキッシュな装いには、いまでもファンが多いのではないでしょうか。
やはり本作においても、個人的には、ファッショナブルな装いと、ティーンエイジャーの過酷な生い立ちによる孤独、自立、初恋を描いた、壮絶な内容とのギャップが好きですね。どちらの映画も、ローティーン(13〜15歳)を主役にストーリーが構成されており、オトナの女性に成長する過程が美しく描かれています。レオンへの敬愛の気持ちや、一人前の女性として見られたい恋心から背伸びするようにマチルダが選ぶ、ちょっと大人びたパンキッシュなコーディネートなど、一面的ではない“女の子と女性”の狭間などをファッションでも見事に表現していると思うので、作中のファッションが伝えようとしているものという観点からも、生徒たちには映画をみることを教えています」
「最後にご紹介するのは、ファッションを学ぶ教材としての作品ではなく、インタビュアーとしても活動する私が、大好きな書籍です。私は一人っ子で、オトナに囲まれて育ちました。同年代の輪の中にいるのが苦手な子で、常に母や周りの女性たちに憧れを抱いていました。それは今でも変わらず、私をインスパイアするのは、素敵な女性たちなんですね。
この本は、母から勧められて読んだものです。 さまざまな分野で活躍する、60歳以上の51名の女性たちを紹介しています。60歳を過ぎてから、新しいことに挑戦した方々も多く登場し、彼女たちのバイタリティの高さに勇気づけられます。まさに、ウーマン・パワー! 私は、専門学校の学園長を務めながら、ロサンゼルスでインタビュワー、ライターとして、かれこれ15年以上、仕事をしています。多くのセレブやアーティストにインタビューをしてきましたが、誰ひとり同じストーリーを持っていない。”はじめまして”の出会いと、そこで初めて出合う人生のストーリーに、毎回言葉に表せないほど感銘を受けています。私にとって天職と呼べる職に就いているので、このようなドキュメンタリー、インタビュー取材記のような作品が大好きなんです。
15人目に登場する長谷川峰子さんは母の友人で、現在、高級ストール専門店・株式会社インド リームを経営されています。東京大学を卒業した後、2年間大手の長期信用銀行に勤めた後、専業主婦に。その後、社会との繋がりを求めて40歳で就職。50代で起業されています。人生って本当に、十人十色ですよね。さまざまの人生のストーリーを知ることは、私をとてもワクワクさせます! 母の世代の素敵な女性たちを常に目標にして、そしてファッション・ビューティーの学園長として、次世代である生徒たちと対話し交流をもち、そんな世代を超えた”カンバセーション”が、私の人生をブラッシュアップしてくれるんです」
南太平洋の大自然を舞台に、ある孤島に流された男の子と女の子が、やがて成長して大人になる様を描く。クリストファー・アトキンズら、アイドル俳優たちによる性の目覚めを表現しただけでなく、自然や文明、愛や家族を通してシンプルに生きるとは何かを問う。ブルック・シールズのナチュラルな美しさがまぶしい1980年公開作品。
殺し屋と少女という異色コンビの交流と復讐の戦いを、リュック・ベッソン監督が描いたアクションロマンが、監督自身による編集で約22分の未公開場面を加え、約2時間13分の完全版として復活。一流だが孤独な殺し屋レオンと家族を惨殺されたマチルダは生活をともにし、彼から仕事術を学ぶ。登場人物のファッションも必見。
本当の自分らしい生き方を見つけ、挑戦し続ける60歳以上の女性51人へのインタビューをまとめた一冊。“いくつになっても「今がしあわせ」と言える女性でありたい”の副題のとおり、歳を重ねるごとに輝きを増す女性たちから学べる人生のヒントが満載。これからの人生を憂う人に送る、しあわせな人生を手に入れる方法とは。
取材・文/八木橋 恵
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